薬屋のひとりごと

薬屋のひとりごと・最終話。マオマオのはからいによりラカンはある妓女を身請けするに至る。それは彼の生涯における後悔の源である女、思い人にしてマオマオの母。意外というか何というか、マオマオ自身はラカンに対してそれほどの悪感情は無いという。「一発命中したから自分が在る」ワケだしっつってもねえ。恨みは無いが生理的にキモい、あと才能も認めるけどってとこか? まあらしいっちゃらしいのだが。…妓女フォンシェンの様子を見るに、梅毒の後期症状だろうね。もう長くはないんだろう。

身請けの宴を受け、マオマオが楼壁の上でしきたり通りにひと踊りする。彼女なりの、父と母への祝福でありある意味の手向けってことだろう。一連のシーンは作画も演出も一作のクライマックスに値する丁寧な、気合の入ったシーケンスになっていた感じ。その後のあざとい作劇であるジンシ様との疑似イチャイチャも含め、ひとまずのシメとして適切なものだったんじゃないでしょか。まだこっからロウラン妃関係のネタとか、手つかずのネタがモリモリあることだしなあ。

●総評。構造としてはヤレヤレ系の主人公が他の者には無い才能(化学薬学の知識と推理力)を駆使して問題解決にあたる…というものであり、そこに身分を隠したイケメン男がだんだんと近づいてくるというロマンスも欠かさないと。その両輪が関係しつつ着実に進行してってるのは、原作者のシリーズ構成がしっかりしてるってことだろう。ただちょっとしっかりしすぎているってのがですね、まあこっちの脳みそ能力の問題なんですけどね、伏線とか仕込みがロングスパン過ぎて忘れてるってのがままあってですね。これは再読性に優れるという作品の長所でもあり、文句言うことじゃないんでしょうけどもね。

そういうおっさんの愚痴は措いといて、作品の出来としては視聴者の求められるものをキッチリお出ししてきたものだなと思う。耽美な要素もミステリなネタも書き込まれ度合いが深く、丁寧。総じて高いレベルでまとまったアニメだったという印象。ちょっと自分自身の嗜好とは離れたところにある作品なのだが、それでも楽しく見られたってことがその証左と言えるでしょうね。

作品後に2期制作の発表あり。上記の未解決ネタ含め、分割2期ありきの制作体制だったのかな。ともあれ、楽しうございましたです。