雑文・安野光雅

安野光雅が亡くなったとのニュースを受ける。自身がおっさんになったことで最近は「誰々が亡くなった」という感想はできるだけ控えめにしようかな、と思った矢先のことなれど、しかし自分の精神の根幹をなす存在であったので割とショックを受けました。絵本として「ABCの本」や「ふしぎなえ」や「もりのえほん」の隠し絵という概念に触れた最初の経験、そして「算私語録」や「散語拾語」、ことに森毅との「数学大明神」。我が精神形成の根幹と言って間違いのない、そんな存在のお方でした。すべてが許されるならば、あんな人になりたい、あんな人生を送りたいと思うような存在でした。この場所にて、心からの哀悼の意を表します。どうか、書画と数学に満ちた世界で心横溢に、かつ好き勝手な世界にありますように。

バック・アロウ

●バック・アロウ・2話。この語り口のパッパカしたテンポと(今後の展開への)呼応というか寓話性は、確かにベースの一つである中国古典逸話へのオマージュを感じるがそれは単なる気のせいかもしれない。とまれ、主人公のバックアロウさんが割と物語の制約を越えて主人公っぽいってことは割とよく確認できた。とにかく、この段階では彼は悩まない。悩む要素が無くてあまりにも行動原理が簡素であり、幸いにして破滅的でもない。てことは、このカントクの作風からして、その特権的な主人公的地位自体を再構築するような展開がある可能性も大いにあるんだけど…まあね、とりあえずは、周囲の世俗要素をパワーで押し切ってくれそうな彼を期待しておこう。先々のことは知らん。あと、陰謀家の杉田さんと直情将軍の置鮎さんが旧知の友ってのは割とウェットな萌えさせポインツだと思った。拗れても最後までブレなくても、その手のお人たちは喜ぶだろなあ。

 

裏世界ピクニック

●裏世界ピクニック・2話。八尺様登場。怪異にかどわかされそうになっている者を救おうとしたらそれ自体が罠でした、という典型的な流れがちゃんと成立しててちょっと感心する。その前まで描写でソラヲさんがトリコさんにどうも百合懸想気味なのを示した上で、「大事な人」を釣りのベイトとする怪異に利用され…という流れが王道ね。主人公お二人がそれぞれ無自覚ジゴロに内向的重い人、と割とめんどくさいキャラしてんのがいろいろ思いやられることではある。これ、今後もソラヲさんがトリコさんに振り回された上でたまにエサもらう、とそういう感じになるのではないか。知らんけど。あとレギュラーっぽい日高声の人が出てきて、また頼りになりそうなならなさそうなおっさん出てきたと思ったら居なくなった。男に厳しい作品ではある。

 

バック・アロウ

●新番組・バック・アロウ。谷口悟朗監督で中島かずき脚本という取り合わせ。谷口監督はこういう、そこそこのバジェットで適度に通俗的で明らかにオリジナルのアニメをコンスタントに作ってくれるとてもありがたいお人であり、その上ジャンルが今ではあんましメインストリームとは言えないロボメカSF方面が多い、という更にありがたいお人である。この第1話、結構な密度で状況説明をこなしつつも主人公とその周囲のキャラをきっちり紹介しており、いささかせせこましい感覚もあるが少なくともこっから先に向かっての視聴意欲を掻き立てる。そうかあ…バック・アロウってのは馬鹿野郎って意味だったのかあ(いや絶対それだけじゃないだろうけどさ)。

あとキャストがどいつもこいつも演技巧者で、かつタイプキャスティングからちょっと外れた辺りを持ってきてるのが面白い。これは小劇場とかの劇団員を新たな演目にキャストしてるみたいな、そんな感覚がある。陽性で喰えない軍師の杉田、熱血将軍の置鮎、馬鹿でストレートでパワーな主人公が梶…というねえ。この辺、ちょっと聞いた辺りでは判んなかったよ。メインキャラの中で一番新人っぽい洲崎綾でさえキルラキルたまこまーけっとから7年だもんなあ。てことで、上記スタッフの作品ならばいろいろあっても最後まで見せてくれるだろうなあという期待が立つ。うん、見てみましょう。…あとアレだ、「第1話に出てきて暴れ回った上でさっさと退場するモブ敵」っての、イメージだけだとすごく谷口アニメっぽいんだけど…これは多分中島脚本の要素がでかいんだろうね。知らんけど。

 

裏世界ピクニック/OBSOLETE

●新番組・裏世界ピクニック。お話の概要を見ると、ははあこれ路傍のピクニック(ストーカー)のオマージュなのか。法則の違う世界での冒険ってのはメイドインアビス、お嬢さん二人での奇妙な紀行としては少女終末旅行、その辺を思い出す。主人公二人が大学生ってのはちょっと珍しいかしら。お話は上記の通り日常の裏側の世界でのあれこれ。くねくねや恐怖のエレベータなど、都市伝説がそのバックボーンにあるみたい。見てて思ったのは世界構築・話の進行・キャラクタの思考や行動などが、割と癖のある…言ってしまえば「あんまり多様性のある価値観ではない」感じがするな、というとこ。ちょっと言語化しにくいけど、細かいところで作者個人の想像範囲が見えてるような。ただそのこと自体は作品の独自性・作家性でもあるので、多分見てるうちに(こっちが慣れるにしたがって)気にならなくなるとは思う。とりあえず、この雰囲気は嫌いではない。うん、ちょっと見てみましょう。

●OBSOLETE・12話まで。11話の海底作業員の話、なるほど技術的使用もありやなと思いつつ潜水艦モノのお約束も押さえててなかなかよろしかった…という感想をほぼ吹き飛ばす12話のひどさがひどいなあと思った。何が2444年ですか。高木渉も「え…えくすぶらすたー!」つってんじゃありません。まあその、確かにその、こういう小型万能メカがあったらまずおんなのこ乗せた作品作るだろうなあ日本ならなあ、とは思いましたけど。それ言うとエグゾフレーム使ったハリウッド映画とかアメリカンドラマとかも見てみたいけどね、ってこの作品自体がそれに近いのか。まいいや。

えーとここでいったんシメなのかな。総評自体は前に言った通り、楽しんでるけどこれちゃんと収益出てんのかなとその辺が心配。このまま地味に続けてって欲しいと思います。以上。

 

イコライザー2

●録っといてた「イコライザー2」今見た。前作のイコライザーは一見大人しそうなデンゼルおっさんが実は手練れ中の手練れであり、ナメてかかってきたチンピラどもをばったばったとなぎ倒す…という、なんつーかその、洋の東西問わず「やっぱみんなこういうアレが好きなんだよね」という感じのお話だったけれども、今回の2は基本その路線を継承しつつもっともっと「普通のアクション映画」方向に振った感じのソレになっている。これはまあ、2作目ってことである程度しょうがないとこではあるんだよな。同じネタを同じようにやって「2」ですよってワケにもいかんし、となると一本のアクション映画としてはあまり尖った形にはしにくいし。てことで良く言ってウェルメイド、悪く言うなら陳腐でありきたり、というのが距離置いた評価となるだろうか。…そんな映画でもあっちこっちの隅々まで手抜きのカケラが見えないってのが上層ハリウッド映画の質なんでしょうけどねえ。いやマジで、後半のしょうもないカットでの「ハリケーンが近づいてます」という描写のカットとかですら暴風雨背景をすっげえ違和感のないCG(だよね?)でお出ししてて、そういうとこだけじゃなくても違和感のない細部描写を敷衍してんのが地力だよな、というね。まあその、上記の「陳腐なアクション映画」ってとこに異論はないんだけど、逆に言えばそういうジャンルの中において十全なデキではあったなという感想となる。結局のところこの映画を見ようと思った層には割とフィットしたデキだったんじゃないでしょうか。粉塵爆発の状況設定を提示した上で「あとは判るよね?」であんまし説明なしに爆発させる辺りとか、こういう感じのジャンル映画って嫌いではない俺だ。てことで、がっぷり四つの映画鑑賞としてはともかく、こうして娯楽的に消費する目的では結構満足した私でした。…個人的にはもうちょっと、対人バトルのシーンでヘンテコな偏執性を見せてくれるともっとおもろかったのだけれども。あとクライマックス近辺の、銃撃者主観ショットはあれFPSゲーのノリだよね? そういう層へのおもねりではあるのかなあ。

 

おめでとございます

●あけましておめでとうございます。本年もよろしく。

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いろんなシワヨセが襲い掛かってくる状況であり、なんかもうヤんなっちゃうんですけども、まあとりあえずなんとかなりますように。てことで、丑年です。以上。