夢の話は誰も聞かない

●夢を見る。「歩き回るだけで遊べるアドベンチャーゲーム!」という触れ込みのブラウザゲーを見つける。画面上はドットを強調した海外風でポップな絵柄の世界で、まず画面には街路灯に掛けられた絵が映っており、どうやら自分はその中にとじこめられているようだ。画面端の矢印を押すとそちら側の視点に遷移するのだが、この段階でやたらと見るべき範囲や仕掛けらしき要素が多くて「これはやりがいのある…まあめんどくさいゲームだな」と思う。画面下方にあるつまみをさわると絵画がガタンと傾き、自分は絵画から放り出されて行動範囲が広がる。周囲は街中というより広くてごちゃごちゃした高架というか歩道橋というか、そんな風景。もうこの時点で画面を見ているゲームという認識は薄い。とりあえずで歩き回れる範囲は数百m四方といったところだが、上下方向にも階段や通路でかなり動けるし人通りも普通に多いし整然とは程遠いごちゃごちゃぶりだし、でクリアできるかとても怪しい。空中回廊から地上に降りる跳ね橋のような構造(現在は橋が上がっていて通れない)のたもとに小さなカゴがあって、中を探るとチケットだのライターだの半券だのメモだのがぞろぞろ出てきて「これ全部クリアに必要なアイテムか」と割とうんざりする。探索するうちに地下の管理施設のような場所に来る。おっちゃんたちが談笑しながらこの区画の様子を見ている10×20mほどの広さの雑然とした施設であり、ここに来ることは多くなるだろうなと思う。どういう仕組みなのかはよく判らないが自分以外にも複数のプレイヤーがうろついてるマルチゲーのようで、メガネの小男が「跳ね橋が使えない」とか言っててははあ、やはりあそこがネックかと思う。ならんでいるモニタの一つの下部にいかにもなにかイベントが起こりそうなスイッチが巧妙に隠してあり、触れてみるとモニタが面がパタリと手前に倒れて新たな操作系がでてくる。スイッチ群とリアルタイム画像の操作盤であり、その一つに「跳ね橋」とある。先刻の小男が「あーっ。これかあ」と言うので早速そのボタンを押すと、画面上の跳ね橋が動いて地上に行けるようになる。それ以外にも「赤色ゲート」「黄色ゲート」「赤色ゲート2」だのいろいろあり、自分が通ろうとしてできなかったのは確かこの赤色ゲート…いや2の方だったかな、と考えているうちに目が覚める。

全体的にいにしえのアドベンチャーゲームっぽい世界設定であるが、それが(少なくともその時点の自分からは)現実世界として認識されていると「めんどうだな」「先行き不安だな」という感情が先に立つという認識であった。これが真に現実ではない、ゲームとか夢ですよという理解があるならばまた違った心持ちになるのかもしれない。