REDLINE

●いまさら「REDLINE」観了。めちゃくちゃカネと手間のかかったチキチキマシン猛レースというコンセプトのアニメで、それを求めるなら2時間弱の映画枠はちょっと長い気もするんだけど、その辺なんとかうまいこと盛りつつほぼ中身空っぽのレースでゴー! ってな作品に仕上げている、これがエライ。主人公の過去や確執やラブアフェクションをコンパクトに描きつつ、作画と演出のリソースをメインディッシュのバカレースに傾注し倒すことを忘れない、っていう意気がちゃんとある。もっかい言うけど、これがエライ。そして「スペース・ダンディ」のレース回でみんなレッドラインだレッドラインだ言うのもよく判った。そういや両方とも今石のおっさん関わってんな。

当然小池健の強烈な個性が前面に出てる作品なのは前提として、見てて思ったんはこれ、ガイナ…というよりはむしろトリガーか、上でも書いた今石系の色が結構出てんなって印象だった。演出や物語は小池そのものだけど、一部アクション時の作画とそのタイミングがね。親和性高いのはよく判るし、もっと言えばヒロインのソノシーがソコハカとなくトリガーキャラっぽいことやなあ、と思ったりした。そしてそれはそれとして、小池健の師匠筋である川尻善昭が第一原画で参加してんのもエエなと思った。チキチキマシンもそうだけど、これって「迷宮物語」所収の川尻作品「走る男」のオマージュでもあるのかもしれんなあ。

主役と相棒の二人にキムタクと浅野を置いたのは制作側の目論見としては成功してると思う。普段のセリフのナマっぽさとテンション上がってる時の叫び声、両方ともちゃんと演技者として「代替の効かない独自性」がある。個人的にはそれぞれ中堅~ヴェテランの声優でアテても面白かっただろうとは思うが、しかし現状のこの二人じゃないとダメてェリクツも間違いないとこだなと感ずる。

ともあれ、面白くてスカッとする作品でよござんした。…登場人物が多いアニメだから当然っちゃ当然だけど、脇を支える声優陣の使い回しがとてもとても多くてその辺ちょっと楽しかったな。特にチョーさんは便利に使われ過ぎだしチョーさんはヘンな演技し過ぎだし。あとたかだか10年ちょい前の作品なのに、石塚運昇郷里大輔青野武が鬼籍に入られてるってのがなんかすげえツンと来た。辛いことだねえ。