ジョジョ/甘々と稲妻/モブサイコ

ジョジョの奇妙な冒険・25話。手がかりを求めて吉良宅を検索するご一統。今後に繋がる資料はないが、これまでの吉良を推し量るネタには事欠かない。「自分の爪を溜め込んでおいてデータを取る」とか、実に微妙なサイコネタは荒木先生の本領発揮やんね。それ以外にも今回登場の吉良父のシーンとか、結構純度の高い恐怖映画っぽさがあって面白かった。原作マンガではそれほど印象に残らないとこだったんだけどな。

そして吉良さん本人はというと、「川尻」という名と家族を得て新たな人生を送ることになる。家入る時に鍵を数度間違える、というのが端的な描写でいいセンスだよなあ。勝手に料理作ったりという疑われるような行動は吉良さんっぽくない軽率さだが、ここはキャラの一貫性より川尻しのぶさんから見た「違和感と恐怖」が主題でしょうね。結局その危険性に惚れ直しちゃうんですけどね、まあ。

にしてもこの時期の川尻吉良さん、とにっかくめんどくさい髪形してんな! まずシルエットで登場した時のトゲトゲっぷり、何というか…海産物みたいな趣さえあったりしてね。作画する側からしたらさっさとオールバックになって欲しいとこだろうなあ。

甘々と稲妻・最終話。冒頭、黒い服を着て「一年か…」と呟きつつお外を歩く父子の姿。彼ら二人、特につむぎさんが母の死に余裕持って向き合えるようになるにはもう少々かかるだろうが、まあそれは時間様の領域。さて、ふとしたキッカケでお好み焼き屋で食事しようとするお二人だが、些細な行き違いでつむぎさんは決定的に機嫌を損ねてしまうのである。…ああ、この感覚覚えがあるなあ。大人の客観から見ればしょーもないことでと思うのだが、本当にこういう行き違いが悲しい思いを生じさせるんだよねえ、子供にとっては。後半の楽しい時間でついやっちゃったトラブルといい、こういう「やっちゃった」ってな皮膚感覚をキッチリと表現してみせるのがとっても上手いな。

そんな時、父親はどうしたらいいか。公平父さんは「ぼくも怒るのはキライです」と正直に言い、お互いがんばっていこうやないかと子供と向き合うワケだ。手探り極まりない関係性の構築方法だけど、でも誠実ではある。難しいよね、人間って。

んでこの期に及んでやっと小鳥お母んの本格登場っすか。最終話に出てくるだけあってなんかインパクトあるなあ。コートの下に学生ブレザーだもんね。テレビでの姿は一回限りのインパクトネタじゃなく、あれでレギュラー状態なのか…そういう番組なのか。いや、いいですけれど。うん。…新井里美のちょいオバハンくさい声がよく合っててよろしい。何となく、ヤギちゃんがファンであるのが判るようなきがしました。

●このまま総評に入りますが、一応みんなそろって「おいしいね」と一区切りは付いてる感じなものの、そう言われないと最終話って気付かないほどの平常運転ノリってのはある意味、この作品らしいのかなという気もする。どっかでドラマチックな区切りがついてゆくような、そういうのとは真逆の作品。となるとスライスオブライフとして、日常をどう面白く見せるかってのがテーマになるんですが、この場合はお料理を軸としたディテイルで見せるということだろう。食べるってのは生きることとニアリーイコールでありますし、小鳥さんという食べることの権化みたいな人も居ますしね。

ただ、とてもよくできたアニメアダプテーションだとは思うものの、この作品の最も適したメディアはやっぱマンガなんじゃないかな、と(原作マンガも見ずに)思ったりする。似たようなシチュエーションの繰り返しという構成は、やはりノイズというか「意図せざるブレ」が少なくなりがちなアニメという舞台ではなかなか厳しい戦いを強いられる。無論そこをクリアするためにスタッフは最大限努力しているのだけどね。案外この作品、ドラマ映えするんじゃないかなと思ったりした。ま、余談ですが。

ともあれ、上で書いたようにこのまんま二期も三期もイケるような構成であるし、その辺は人気次第でしょうかね。小鳥さんの包丁苦手な過去とか、膨らませられる要素もいろいろあるし。…まあ、二期やるにしてもそないユッタリもしてられんでしょうなあ…主につむぎさんのお声がらみで。数年で普通のお嬢さん声になっちゃうよねえ。ともあれ、楽しく視聴しました。

モブサイコ100・11話。紆余曲折するモブたちに対し、ここで満を持して…だか何だかで霊幻師匠登場。相変わらず口先一つで状況を切り抜けようとする詐欺師手腕は高いお人であり、ノリと打算で生きてる気楽なおっさんであるのは間違いないのだが、しかしこの切迫した状況下にあって彼がほぼ唯一の「大人」として立っているってのは大きいことなのだろう。年齢が青少年であるモブたちはともかく、爪の幹部連もその精神性にあっては「拗らせたガキ」に近い何かである。無論、そういう大人じゃない者たちが世の中の壁を突破したりすることも多いんでしょうけどね。ま、こいつらにあっては…ねえ。

兄弟再会した時、何のケレンも衒いもなく相手を気遣い称揚できるというのがモブさんの美点とも言えるし、欠点ともいえる。そのイノセンスは律さんをして大きな回り道を強いることになってしまったのだが、まあこうしてごっちゃごちゃな経験を経てからのこれ、となるともうしょうがないよね。律さんもこじらせてる場合じゃない、ということだ。

毎度アクションにはキッチリと質を高めてぶつけてくるアニメだけど、今回の作画も実に気合入っててよろしい。垂直水平の建物内ってことで、計算された三次元的でダイナミックな視点移動シーンが映える映える。毎度ながらこれ、効果的な絵作りをもたらすために相当あたま絞ってレイアウト/コンテ作業してんだろうなあ。かっちょいいっすわ。