ヘルク/AIの遺伝子

●新番組・ヘルク。人当たり良くて頼れるムキムキ勇者が何故か魔界のコンテストに参戦して楽々勝ち抜いていく、そこに疑念を持つ魔界のエライ人(お嬢さん)の話。テンポのいいコメディと深堀すれば不穏さが見えそうな雰囲気、ツカミとしても充分な第一話になっている。監督は佐藤竜雄。確かな技量と大衆的な感覚で良質な作品を作るんだけど、作家性の高さも同時に持っててそれがたまに作品や視聴者の方向性とコンフリクト起こすことがあり、でもその違和感自体も狙った物であったり…という少々めんどくさいとこあるんだよなサトタツ。しんねりむっつりした人間ドラマが急にぐいっと生えてくる作風はでも、こういう作品には合ってるかもしれない。

何か過去のありそうな裏切りの万能勇者が小西克幸、コロコロと感情と表情が変わるワルモンヒロインに小松未可子、のぺっとしてて苦労人物っぽい事務方小動物に石田彰などなど、手堅くて一昔前っぽいキャスティングに安定感はある。特にみかこしのツッコミに多大な労力が発生してて特別手当が必要に思う。あとナレーションが池田秀一。声がちょっとじじくさくなってきてんだけど、ナレとしてはいい感じ。先が気になるし、継続してみよう。

●AIの遺伝子・2話。須堂先生んとこに来るはかつての同僚ヒューマノイド・カオルさん。一見ナイスバディのお姉さんだが、その実かつては男性であった経歴を持ち、そして本人はどちらでもないと言う。状況を俯瞰的に/冷笑的に見るタイプのようですが、さて。そして彼/彼女とともに紹介される高度AI・MICHIさんは…これ、ビッグブラザー的なアレですかね。AIだってのにそのガワというか瞳がどうも人間っぽいんですけど、何だろうね。

メインの話は若き陸上選手のヒューマノイドさんとその友人について。思い通りにならない世界に一喜一憂する彼らのドラマは、須堂先生も言う通りカオルさんからすりゃ陳腐なものだろうけれども、第1話でも示唆されたようにそのトリビアルなディテイルにヒトってもんの本質がある、ような気もするわよね。そこら辺の各人の認識の差が齟齬を生む。須堂先生の表と裏の稼業ってのは、そういう両面性でもあるんだろうか。

過去の心理実験について「再現性がないガセだ」っての、スタンフォード監獄実験とかのアレだよね。そりゃその辺の要素も入れてくるだろうなあ…ネタとして面白いしねえ。