コブラ見る

●ちょっと興が乗ってスペース・コブラの1話を久々に見返す。平凡なサラリーマン(つっても野沢那智声でマシンガン軽口かましまくるピチスータフガイだけど)が仮想現実の娯楽施設を体験したらその夢みたいな虚構が実はマジモンだったってあらすじは、トータルリコール…の原作のP・K・ディック「追憶売ります」と似てるってのは有名ですね。俺この話が入ってる「模造記憶」っていう短編集買ったはずなんだけどなあ。無くしちゃった。まいいや。ともあれこの第1話は単にパクりと切って捨てるにはあまりにも惜しい、大きなお話の導入として満点に近い名作エピソードであり、テンポいい話運びに期待を裏切らない風呂敷の広げ方で一気に話に引き込まれるんである。絵コンテがさきまくら(出崎統)なのは当然として、原画が中村隆太郎森本晃司福島敦子大森英敏・塚田信子とある。伝説の森本・福島夫妻とビーボォー大森のギョーカイテッペン具合も然りながら、個人的に中村隆太郎の名がここで出てくるのにかなり驚いた。lainとかキノの旅とかのアンニュイ系監督としてブイブイイワせまくったイメージだったので、不勉強にしてアニメーターとしての印象が無かったのよね俺。塚田信子という方は存じ上げなかったが、検索してみると主に出崎系アニメで活動してた人らしい。この人も古参だわな。ともかく「この時代の最先端アニメ」としてまぎれもないクォリティがある。各キャストの手慣れた演技も相俟って、見返すたびに面白い。

そしてこれはおっさんのノスタルジー込みでの話だが、今こそこのコブラっちうコンテンツを大金かけてリメイクしたらエエんでないかと思うんだよな。アニメ当時ですでに少々キッチュに片足突っ込んでたテンプレスぺオペ、バカに壮大な舞台設定、とにかくキレまくる小粋なセリフ。これらをちゃんとした座組で通俗的に豪華に、毎週のアニメとしてお出ししてくれたらすっげえウケると思うんだけどなあ。コブラは(正確には山田康雄も勘定に入れなあかんけどそれは置いといて)二代目の内田直哉もそこそこトウが立っちゃったし、ここは三代目としてコメディもシリアスもイケる中堅辺りを起用してさ。内田のおっさんはクリスタルボーイにシフトさせたら俺が喜ぶしさ。どうだろうねえ。ダメかねえ。…まあ今の状況でむつかしいって要素も判りますけどさ。うん。