AIの遺電子

●AIの遺電子・4話。掌編4話(実質3話)のオムニバス。短い話の集積だけにそれぞれは割と軽めの話だけど、通底する「人工人格とその齟齬」というテーマはそこそ重い。一番重いのは1話と4話のリサさん話の主人公・レオンさんかもしれませんけどね。親友と恋人の間、っつー障壁はなかなか高いっすからねえ。あとこの話だといろんな役やらされる尊厳破壊気味な架空須堂先生が面白かった。まあ中の人的にも似合ってはいるよなこういう役もさ。

2話、なまじAIゲームやっちゃったせいでデートに失敗しちゃうってのは「本命の相手を別の名前で呼んじゃった」ってアレの変奏曲だけど、その結果としてAIに戻っちゃうってのはなかなか…業が深いのか浅いのか。3話の浮気男とその彼女のヒューマノイドペア、割と気軽に「賢者スイッチ」を増設できるってのは人間としてはうらやましい。イーガン「しあわせの理由」の逆パターンというか。んでこっちの結末は女の方が実はだめんず好きだったので振られました、というね。うん、軽妙かつヒネりもある小ネタ集、こういうのもいい感じ。