AIの遺伝子/デキる猫

●新番組・AIの遺伝子。人と「ヒューマノイド」が共存する未来。この世界のヒューマノイド:人造人間は、外見もその精神性もほぼほぼ人と変わりないが、その電脳はリプレイスもバックアップも認められていない…ってとこからの語り起こし。SFでは定番の「コピーされた人格」問題でんな。斬新な視点でのエピソードというより、そのベタな話をベタなままの真正面から、じっくりと提示してくる感じ。スクランブルエッグに生クリームを入れるかどうか、そんな僅かな差異に人格が宿る。所詮人(あるいはヒューマノイド)の感じることでして、そりゃまあ不合理なものなのだが、その合理から外れたところが代替の利かない「人格」ってものの片鱗なんだろうな。そんな話。

主人公の闇医者モードの名がモッガディートでティプトリーからの引用だったり、刑務所のデザインがパノプティコンだったり、裏社会の違法人格コピー描写が攻殻のゴーストダビングっぽさアリアリだったりという「盛り込みたいネタがいっぱいあんだろな」って感じがすげえ漫画原作っぽい。こういうの、総合作品であるアニメオリジナルだと丸められちゃうとこだからねえ。…そこまでのバジェットではない作品のようで、初回から作画自体は割と控えめなのが惜しいっちゃ惜しい。まあ凝ったネタの原作ありきならば興味も継続するかな、って感じで。コピーされた母親のゴーストが今後いろいろワザしてくんねやろなあ。

●新番組・デキる猫は今日も憂鬱。自嘲的にダメ人間と言える程度のそこそこカチグミサラリウーマンの独り身OLんとこに、安元声でクマみたいで無愛想で家事全般をカンペキにこなすねこが居る、そういう話。「サエない僕のもとにメイドロボが」系の変奏曲にカテゴライズされるだろうか。すごく丁寧なアニメ作品だけど、なんしか私の守備範囲内からはちょい外れるかなって感じがするので様子見で。

…書いとかなきゃなってのがこの作品内容とはヤケに乖離した演出効果がガチ盛りってことで、アバンから3DCGと手描き、魚眼広角鳥瞰ローアングル、手前オブジェクトナメで超低視点ドリーショットなどと技巧を駆使してやたらダイナミックに東京の通勤風景を描く。なんだこれ。…通勤客があまりにも画一的な感じがするのは私が関西在住だからなのか(ラッシュ時だろうがなんぼでもヘンテコな人居るけどなあ)、あるいはそういう意図的な演出なのか。とりあえずまあ、その辺は目を引きましたです。継続するかは判らん。