スプリガン

スプリガンの新作全6話一気に見たので感想書く。1話45分クラスなので6話で普通のアニメほぼ1クール分。原作は未見、大友克洋の映画は視聴済。これは…すごく面白い。様々なオカルトネタを真正面から扱うというレイダース/インディの現代版をちゃんとやろうという丁寧さがある。マクガフィンの大層さとハッタリが手加減なしでよろしい。敵の成田剣・乃村健次の対照的なキャラもいい。アバンのエピソード、あれは本来もっと尺がある原作なのかと思うけど、割といい感じに作品のカラーを説明してていいと思った。あと増谷康紀のアバンナレーション、声の質がなんとなく(映画版の)矢島正明と似てるなあ…。

スプリガン・2話。「聖なるアーク」といっても箱舟の方、映画版のエピソード。確かレイダースが本邦に先行情報だけ入ってきたときは聖櫃じゃなくて箱舟と訳されてたの思い出した。敵の機械化小隊、便利コワモテ声優の間宮康弘と名誉チンピラ声優の岩田光央が本当に楽しそうに小物悪役やってて心が洗われるようだ。村瀬歩(三十路越えでこの声なのな…)の坊ちゃん、映画の時にも何となく思ったけどAKIRAっぽい。アレは大友克洋の趣味だけじゃなかったのか。

スプリガン・3話。少女トレジャーハンター・ソメイヨシノさん登場。図々しくて利己的で手前勝手だけど背中を預けられる程度には頼りになる、「あんまり憎めない」という類型に落とし込む道具立てとしてのお嬢さん。そして敵役、というより一時的な共闘役として傲慢でタフで割り切りの早い傭兵のアカツキさん・細谷声。どいつもこいつも胡散臭ェが「テメエのケツをテメエでワイプできる」野郎ばっかでそういうストレスレスな感じがよろしい。その上でのユウさんのちょっとした甘さがいいアクセント、なんだろうな。

スプリガン・4話。サンドイッチのパンとして日常業務の運動会出場、具材としてオーパーツの超古代破壊兵器という非日常を使う。登場キャラの学者側は技術志向の近視眼、軍人は理屈の判らぬカタブツ…と双方どうにも肩入れしたくないイマイチキャラ群を立ててるのが主人公側への感情移入理由として判りやすい。まあ最終的には軍人お姉さんが譲歩かつ日常にデレつつこっち側に来るんですけどね。にしても古代文明は人類抹殺兵器しか作ってないのか。ドラえもんの未来デパートなのか。

スプリガン・5話。クリスタルスカルの伝説。この原作の後でインディの方にも同じネタ出てきたのがなかなか面白い、っつーかそのくらいメジャーってことだな水晶髑髏。言い換えてるけどネオナチという割と危ないネタをなんとかバランスしてやりぬける苦労を感じたりする。ネオナチ(じゃない)の脳筋兄ちゃんに稲田徹、やっぱすげえ朧に子安武人と相変わらず痒いところに手が届きすぎるキャスティング。あと水晶髑髏による爆心地クレーターはバリンジャー隕石孔だねこれ。

スプリガン・6話。ソメイヨシノさん再登場にして「船長」大塚明夫登壇。最新鋭調査船のロシナンテ号、対空レーザを秘匿しつついざとなれば超電導推進で船体から発光するバルジを展開して驀進するという…ああ、なかなかの男の子大好きシップ。そしてメインギミックがフィラデルフィア実験とエルドリッジ号。素晴らしいベタネタ。敵は元メンターのボーマン@菅生隆之、彼との因縁と決着はこの話を支えるに充分なバルクがあってよろしい。クライマックスのタイマンアクションも果汁たっぷり。つーかユウさん、先生キャラ多いな。そしてまだ見ぬ次回へのブリッジキャラに森久保祥太郎かあ。先代スプリガンとは気の利いたことで。

総評。上でも書いたけど、オカルトギミックで大掛かりなSFアクションをやらかすという、その真正面なスタンスをきっちりこなしてるのがとても好感度高い。今から似たような企画を立てたらどうしてもどっかヒネらなきゃならないかも、というそんなマイナス要素を「かつての名作をアニメ化する」という名目で電車道に寄り切ったデキに大いに満足。めんどくさいデザインの特殊スーツやプロップをCGで描き、顔は手書きで乗っけるという手法がいい感じにハマったなあ。こりゃどうしても続編を期待したいとこなので、そのように願っておこう。