有頂天家族/正解するカド

有頂天家族・9話。冒頭は矢二郎の旅立ち。とりあえず今回の話には関係は薄いが、予告見るにどうやら今後絡んできそうな流れではある。あとお母んのヅカ装束久しぶりに見ました。このお母さん、やっぱ色々とかわいいよね。狸らしいお茶目さもあるし、家族愛もある。

さて本編は次代偽右衛門選挙にまつわる狸の一大事、天狗の喧嘩の話。偽右衛門の立会い天狗に赤玉先生がダダこねて、弁天を推挙しちゃったのが問題の始まり。矢三郎の阿呆精神がそこに乗っかったことで、弁天と二代目の直接対決という…狸にとっては戦乱の世に等しい「波風」が立ってしまうという一幕。どちらのキャラ的な強さがとんでもないってのは今までの描写で十二分なので、弁天の登場から二代目の登場まで「あ、これはヤバい」というドキドキ感覚が大概である。…狸は阿呆を好むかも知れんが、天狗はどうなのですかね。なんかゴタつくのが本質の一部になってるというか、ある意味好きでやってるのかもしれんなこれ。

油田火災に爆弾をもってくるみたいなことを平気でやる矢三郎のキャラが、今回も飄々としててよろしい。大いに恐れられる赤玉先生・弁天・二代目たちに対し、エエ具合のバランス感覚で軽口も叩き敬しもする。一応限界もあるので毎度のように焦り困りもするんだけど、それにちっとも懲りないのがこの狸のキャラですね。だからこそ、海星相手にはあっという間に化けの皮がはがれちゃうってのが意味を持つワケではあるなあ。

正解するカド・8話。人間の意識を異方化するモノ・サンサを世間に広めるか否か。ゴンノさん、及びセッテンCEOは公開し世界に問うこととする。一方でそのドラスティックな変化に対して抑止的な意識もあって、それがまずサラカさんである。わざわざ真道さんを実家デートにまで誘っての交渉官テクニックはしかし、どこまで訴えかけるものがあるものか。ある程度真道さんには思うところができたようではあるけれど、どうかねえ。物語の流れを離れてワシとしての感覚で言うならば、言いたいことは判るけど訴えかける力としてははなはだ弱いかな、って感じ。文章の映像化の難しい点ではあるかも知れんけど、これを文章で読んだら自分の意識による補完も相俟ってもう少し妥当感はあったかもしれない。判らんけどね。

そしてザシュニナは更なる先への要素を持っているようで、それは更に厄介なものになるだろうことは想像に難くない。…ここで、ザシュニナが人間的な要素を増やしつつあることがエエ感じの不安感に繋がってるのは多分意図的だろう。ラストカットの笑みは明らかに、今までにない「意図」を感じさせる絵になっている。元来人間どころかこの世界と比して全く異質なモノであることは忘れるべきではないが、しかしテレビインタビューの表情や抑揚といい…実に胡散臭いな! ワクワクするわい。

んでもってそういうシリアスな要素もろもろが、サラカさんの「くり」Tシャツで割と粉砕されてしまうのがどうにも卑怯である。なんだそのセンス。本人が何っとも思ってなさそうなのが状況のバカチンさに輪をかける。サラカちゃんあざといなあ。マジでホンマ。