スペースダンディ/アルドノアゼロ

スペース☆ダンディ・9話。アバンからいきなりダンスダンス、その後もずうっとダンスダンスのダンス話。つってもこないだのビバヒル白書もどきなプロムダンスじゃなくてサタデーナイトのアレ。だって惑星グリースだもんな。てことでまあ、ダンディらしいごった煮の無茶苦茶話のできあがりである。いいねえ…こういうしょーもない話にすさまじい作画リソースとワケ判んない小ネタディテイルの嵐。何でつげ義春園山俊二画太郎に日アニにガラかめなの、とか聞くのがヤボなんだろうなあ。多分。あとダンディが江頭スタイルで踊ってたアレはモーリス・ベジャールボレロっすかね? いや、あまし知識ないけど。

んでもってこんな話のゲスト設定に大友克洋。それもクリーチャじゃなくて惑星環境デザインというこれまたワケの判んない起用っぷりがイカス。最後お約束の大カタストロフシーン、光が収束する辺りでアニメAKIRAのエフェクトそのまんまなのがあったのは、アレは流石にスタッフ側の(悪)ノリだろうなあ。そんなワヤクチャの果てに専用エンディングを持ってきて、もうどうしたものやら。好き勝手でとてもいいと思います。

伝説のダンシング星人じゃない星人にノリノリの山寺宏一。これでこの作品にはビバップ主要メンツが出揃ったことに…まあ、エド多田葵さんも出て欲しいけど無理だろうかねえ。あと今回の脚本は意外にも信本敬子。そういや前シーズンのクドリャフカ話も信本さんだっけ? 爆発オチの人と認識されちゃうぞ。えーとあと、今回の制作側親玉の米たにヨシトモは割と久々だ。何してたのと思ったら劇場版のタイバニ監督とかやってたのか。しらんかった。

アルドノア・ゼロ・9話。火星にて流れ流れて大川・ザーツバルム卿の下にやってくるスレインさん。物語当初から黒幕側っぽい言動行動、傍目にも陰謀策術で懐柔する系のお人かと思われたが、卿の口から意外な流れのお話が出てきたのでいささか戸惑うスレインさんである。一方の地上側、割と複雑な状況下にあるおかげで内面のこじらせをどんどんと育ててしまったライエさんが、対照的にあまりにもまぶしく明るい姫様に対してとうとう一線を越えた衝動(いや非生産的な方のアレじゃなくて)を行使しちゃってさあ大変…というね。

視聴してる側も「あーこりゃ甘言で言い含めてスレインさんを振り回すんだろーなー」と思ってた大川卿が、口を開いた早々に「自分が反逆者、速水卿こそバカだが愛国者」と言い放ち、極めて客観的に火星の文化の薄っぺらさと戦争の原因を語り、そしてその歪みによって生じた自身の恨みと復讐をも単刀直入に喋ってしまう。ううん、この評価軸の逆転のさせ方は上手い。未だ語られない事実や隠された真実などがあったりして更にどんでん返しはあるかもしれんが、少なくともこの時点で「大川卿はこういう人なのだ」と視聴者に真っ直ぐ提示できる脚本能力は大合格点である。地球からの「お恵み物」である宇宙食のチキンとポテトを大仰なマナーで喰い、その滑稽さを自ら嗤い、そんなものさえ無い火星と地球の格差に憂う。…姫様第一のスレインさんを前に「姫の死を利用する」と言った上でそのスレインさんを怯ませるという、大川卿のキャラの彫り込みが深いことだ。

あとなんか姫様がエライことになっちゃってんですけど。OPに出てるからまだ死んでないとも言えるが、あるいはこっから長期間物語欠席とかひょっとしてライエちゃんが替え玉になっちゃうとか、そういう目先ショッカーを採用してもおかしくない程度の作品だし、こっちの手綱の引っ張りまわし方も上手いと思った。あとマリトにーさんはやっぱり役に立たんけど、目の前でどんどんバーベキューになってゆく戦友を撃ち殺さなきゃならんかった、というのはまあそらトラウマにもなるわなあ。今後どうするのか(制作側がどう扱うのか)は判らんですけどねえ。