スペースダンディ/アルドノアゼロ

スペース☆ダンディ・23話。冒頭いきなりウルトラな男の割とギリっぽいネタがあった後、さて今回のお題はっつーとですね、これがまたバブル期のトレンディドラマなのである。しつこいストーカー男を退けるための偽装恋人としてスカーレットさんがダンディを雇い、そうこうしてるウチにドタバタは進み…ううむ、毎度言うてる気もするが、先行配信してる英語版の視聴者は元ネタ判んですかねこれ。

とにかく今回はその、ホイチョイというか月9というか、そういう時代の雰囲気再現がかなり気合入ってて何かもういろいろとカユい。途中の色遣いが鈴木英人っぽいなーと思ってたらアイキャッチでガッツリわたせせいぞうフォントまで再現しちゃっていいのかこれ。その上でそこここに散りばめられるワケ判んないネタの数々、何でストーカーがデナンゲーもどきの機動戦士(大河原デザイン)に乗ってんだとか、そのストーカーはドルフ・ラングレン(でも中井声)とか、その上ダンディたち二人が打ち解けるキッカケがチャック・ノリスだとか、どっから出てくるんですかねこういう発想。中でも山下公園もといコロニーに上る「軌道エスカレータ」というのは何気にハイブロウなバカネタなんじゃないか。

そんなこんなでどういうオチつけんのかしらと見てたらものすげえテンプレな、その上結構クォリティの高いトレンディ的エンディングがくっついてきてビビる。なんだこれ。最後のシーケンス、雪の中のすれ違いなんざもう横綱相撲といって差し支えない。うえのきみこ、面白い脚本家ではある。いやはや、毎度ながらどういう話になるか読めん作品だなあ。おもろかったよ。

アルドノア・ゼロ・10話。ライエさんからの首絞めに遭った姫様であるが、イナホさんの的確な応急処置によって一命をとりとめることとなる。…やっぱイナホさんの能力はちょっとおかしい。ライエさんを説得しようとする姫様を気遣って思わず前に出たエデルリッゾちゃんに対し、「ここは大丈夫だから姫様に任せよう」の体でそれを抑えるとか、一体どんな人生の機微を積んできたらそういう判断ができんのさ。こういうのは普通、歴戦の勇士とかそういう人の役割でっせホンマしかし。

さて、命を救われた姫様は早速和平を進めようと演説をブたれるのであるが、大川ザーツバルム卿の工作によってその声明は火星に届くことはない。この戦争の裏も歪も理不尽も知ったその上で、休戦を拒み復讐の名の下に戦いを選択する大川卿。敵役としてなかなかエエトコに立っているキャラではありますな。和平演説をしている姫様を見ている大川卿の、なんとも言えない複雑な表情がよろしい。でもまあ、話の残りや流れから行くと、この人もまた状況に踊らされてる人ではあるんだろうな。踊らせているのが黒幕ラスボス、ひょっとして火星の二代皇帝とかですかね。もう死んでるそうだが、どうだかねえ。

あと姫様、ここまでその立ち居振る舞いにほぼアラがない見事な姫様ぶりである。暗殺者であるライエさんに体一つで相対してこれを退けるってのァ、流石の王族ですわな。イナホさんにお礼を言うた後の「これからも。…これからもお友達で居てくれますか?」という台詞の、距離感の適正さはどうでしょう。お友達という単語のチョイス、居てくれますかという疑問形のチョイス、どれもこれ以外に無いってくらいの正解ぶりである。…なりゃこそ、これがひっくり返ることもあるのかなあ、とか思ってしまうのはしょうがないよね。もうこの辺の話数では関わってはいないとは言え、虚淵さんのこと考えるとねえ。ねえ。