スペースダンディ/アルドノアゼロ

スペース☆ダンディ・21話。何も思い出せないまま目が覚めたらワケ判んない世界に居たダンディである。名塚声の少女と津田健次郎声の案内人により、どこか頽廃した世界をうろつく彼だが、ここは悲しみの無い世界だと聞いて憤り出て行こうとする、ってのがなんとも「らしい」ことでんな。悲しみがなけりゃ喜びも楽しみもケツもない。そんな世界に誰が居てやるか! ってワケだ。…ここは惑星リンボ。辺土。辺獄。死と生の間の地。

渡辺監督が脚本を上げ、名倉靖博が世界丸ごと構築した結構贅沢な、かつそこそこ重要っぽい話。名倉らしいフワフワとした独特の世界構築ぶりはすばらしく印象的だけど、この純度の高いファンタジィぶりがダンディに合うかしら、とか思ったがこの兄ちゃん順応性がバカ高いっての忘れてた。とにかく何か異様だったり奇妙だったすることをことごとく「そういうもん」として対応してるダンディがいい加減…というよりはこれ、器がデカいとも言えますな。何にせよ、見てて妙な安定感はある。

どうやら彼は並行世界がそのまま重なり合ってる存在とかそんな感じらしく、これは作品上大事な事じゃないかと思うがどうでもいいかもしれない。ラスト、名塚少女を迎えに来るダンディなダンディは並行世界から分岐してかけつけたダンディなダンディだろうか。アロハオエ号に残ってるダンディがそのまんま目を開かないのが、ギャグとペーソスのブレンドっぽい味わいでこれまたよし。しかしダンディ、むちぷり姉ちゃんにはそれほどだけど若いお嬢ちゃんにはモテんのよねえ。皮肉というかなんちうか。

…とまあそんな余韻をキレイにぶち壊すあの予告がまたこの作品らしくてもう、ねえ。何だあの画太郎キャラと江頭ポーズ。見逃せないにも程がある。

●アルドノア・ゼロ・8話。冒頭いきなり火星側に再捕縛されてるスレインさんの絵にちょっとのけぞり、その後もコンスタントに監禁拷問され、意外な形で名誉回復する目が出るかと思ったとたんにひっくり返され、更なる陰謀の主によって身柄を拘束され…というまあ、何というか非業の国から不幸を広めに来たようなスレインさんの境遇に涙する。つーかこれは一種の「あざといヒロイン」枠だな。「姫様に救われたこの命、今度は私が姫をお守りするんだ!」とて拷問に耐えてるスレインさんの絵と、イナホさん相手に朗らかに話してる姫様の絵をカットバックで見せるというあのシーン、なかなかに趣味悪くてよろしかった。

さて。デウカリオンという母船を得てさあどうしよう、ってな地球側ご一統である。運用に欠くべからざるは火星の姫様その人、裏切られてやさぐれ真っ最中の元火星のスパイ、PTSDでどうにもしまらないヴェテラン軍人さん、ってな感じでそこここにこれからの火種としての要員がバラまかれてて、ある意味での期待感もりもりではある。…火星全て憎しを標榜してたカームさんが、姫様と出会ったとたんに「あ、かわいいからいいや」となってたのはちと笑ってしまったけれどもね。でもこの軽さもねえ、ひょっとして先々へのダウナーな伏線なのかもねえ、とか勘ぐってみたりして。まいいや。

にしても速水卿、あんなけスレインさんを犬だクズだと罵倒しておいてからの素晴らしい掌返しに「ああ、ひょっとしてこれはヤバいフラグかな」とは思ったけど、あそこまで迅速にフラグ回収するとは思わなかったよ。死ぬの早ェな! まあ何だ、2クール目で敵か味方か謎の速水声仮面が出てくるかもしれないけどね。