●翠星のガルガンティア・10話。海域からクジライカは殲滅され、意気上がるピニオンと消沈するレド。ひたすらに武力と制圧力の方向に進みつつあるピニオンの背景には「兄貴」への思いが、多少歪んだ形で存在している。少々危うい彼らとは対照的に、チェインバーはなにも変わらない…いや、銀河同盟のリンクから離れて少し自律性が出ているようだ。何か発生しているワケでもないのに、いや何も起こっておらず閉塞性が充満しているからこその「ああ、これは良くないことがありそうな…」っちう雰囲気作りは上手い。ってとこで上官の人（とロボ）がこの地に来ていた、というヒキ。いつかは出てくるんと違うかなーとは思ってたが、このタイミングってのは満を持してって感じでよろしい。…なんかイカ教みたいなん興してるみたいっすけどねえ。
チェインバーさんが言うところの「ヒディアーズと人類の相克性」。ヒディアーズが知性を捨て、そして知性を超越した存在となってるってのは当たってるわな。そも生命において知性だ文明だってのは、多くの状況において非効率に過ぎるワケでね。戦争してるとか環境の激変が続いてるとかの極端な柔軟性を求められる場合にのみ、他者よりも有利ってだけに過ぎない。そんな状況下でさえ知性的存在と渡り合えるほどの力をヒディアーズが持ったのであれば、それは効率性という生命進化の主要題目においては人間よりも優れているだろう。んでもって人間側が「知性という外部化された進化圧（ミーム）によって知性そのものに極端な存在意義のバイアスを置く」という自己言及的な価値観のよりどころを設定しちゃったおかげで、そうならざる存在のヒディアーズとは「共存共栄」なぞ不可能になってしまった、と。
まァその、それらしいリクツを構築すりゃあなんぼでも衝突回避の手段はあるだろうが、少なくとも上記のテーゼによって生まれたチェインバーさんにとっては、二勢力の殲滅戦争は今んとこ覆されざる「事実」である。…その上ちょいとした自律性を持っちゃったし、これから先は案外チェインバーさんの動向が重要かもしれん。あるいはこの地でゴチャゴチャやってるうちに、上の世界ではとっくに「共存共栄」してたりしてね。ああ何とムダなことやってたんだろ、みたいな。
レドさんが「相手が人間じゃ戦争できない」ちうてたのは心情的には判るけど、ワシらの戦争ってのはそういうもんだしねえ。それに海賊相手には何も顧慮せず消滅させてたのはエエんかいなってとこだけど、やっぱガルガンティアでの生活で過去の「家族」の記憶を思い出しちゃったことがその差異に繋がってるんだろうか。まあ確かに、ベベルならともかく海賊のおっさんども見て幼少時の頃は思い出せんわなあ。
●ちはやふる2は今回の見たつもりで別のン見てたので、また後日。
