ガルガンティア/ちはやふる

翠星のガルガンティア・最終話。ストライカーとチェインバーの戦い。単なる機械であった二体が対立しているのは、マスターとしての人、クーゲルとレドが彼らをそのように作り上げてきたからだと言えるだろう。ああ見えてチェインバーさんもレドさんとの交流によってちょっとずつ変化してきたってこったよな。だからこそレドさんとの別れ際に、ちょいとカッチョいい台詞吐いてたりもするワケだ。そして最後の吶喊台詞、くたばれブリキ野郎! に繋がると。これはターミネーターの伝でしょうかしらね。

ガルガンティアも単なる水撒き機じゃなくてマスドライバだったタワー装置でもって援護射撃、ピニオンの意地とラケージの大暴れ、そしてエイミーの着弾観測…とまあ諸々の応援もて敵は打ち倒され、お話は収まるべきところに収まるを得る。最後にチェインバーのちょっとした「様子」を見せてシメ。うん、なかなかキレイな最終回だったのではないでしょうか。

●総評。今期3つも開始したロボアニメのうち、コイツは中でもロボっぽさが薄く、どちらかというと短編SFの背景的ギミック…あるいは主人公のバディとしてのロボット、って感じでしたか。劇中にロボバトルの見せ場はあったけれどもそれはあくまで一要素、メインはレド(とチェインバー)がガルガンティア世界でどのように己が立ち位置を見出してゆくか、ちう流れそのものである。それは言い換えるなら人と人との関わり合い。ちうてもその「人」の範囲はイカのバケモンまで含めた広いレンジではあるんですけどね。

上でチェインバーをバディと言うたけれど、それ以外にもこのブリキ野郎には様々な役割があったと思う。相棒と同時に道具であり友人であり自分の分身であり、そして「啓発支援システム」の名のとおり教師…あるいは親でもある。最後の戦いでチェインバーがレドを切り離して単独で戦いに赴くシーンは、一種の親離れというニュアンスもあるのだろうかな、と、離れてゆくレドのポッドがどこかゆりかごめいた雰囲気を持っているのを見てそう思った。

それにしても第1話。宇宙バトルからの事故遭難、異文化へ放り出されての困惑、そしてラストシーンで一面の海を見ての驚愕、というあの流れはホンマに美しかったと思う。SoWなんてのは各人の感性によるものであり普遍物でもないが、ワシにとってはこの1話はワンダーにあふれたお話であった。いやあ、ワクワクしましたよ。無論その後の展開もよろしかったですが、とにかくツカミが充分であったってことで。

さて。割とキレイに終わったので続編云々はあまりなさそうだけど、しかしこの広い世界設定はこのまま棄却するにはちともったいないなあとか感じたりする。レドたちの物語はここからがスタートであり、また同盟とヒディアーズの対立は全く解決もしていない。まァ解決することが物語上の必定であるとは思わんけど、あの辺りの情勢がどーなってんのかなーとかそういうのは気になるトコではあります。無論新たなTVシリーズとして話を作るに当たっては今回以上のインパクトと訴求力が要るだろうし、なかなか難しいことではあるが…とまれ、うん、なんかかんかあったら興味深く追っかけたいなと思いますよ。

ちはやふる2・24話。とりあえずは太一っちゃんのA級昇進おめでとー、となった直後に「つまり…ライバル!」と戦いの炎燃やしちゃう千早さんがらしいっちゃらしい。今んとこは軽くコメディ程度で処理してるけど、今後はガチでぶっつかることもあるのだろうな。などと先週の続きをちょいちょいと語った後、さあ頂上だってことでクィーンVSアラタさんのご一戦。しかしこの期に及んで千早さんは観戦をしり込みする。今まで強い人の戦いを純粋に渇望してきた彼女だけど、ここで逡巡するってのは…何でしょうね、本物の高みを見ることの重さ故か、アラタという人間との距離を見てしまうことへの恐れか。とまれ、最終決戦へと突入であるが…。

西田の兄ちゃんの言うとおり、この試合の序盤を見逃しダイジェストでしか語られないってのはなかなかにもったいないことだなあと思ったり。それほどまでに完全な強さを持つお二人なんだけど、しかしクィーンは劣勢。汗かいて険しい顔してなりふりかまわなくなって、何より彼女の内面描写があるって段階でもうヤバい。一方のアラタさんは全く内面が読めない…というか、多分表面そのまんまのニュートラルな状況である。だからこそ「あいつのリラックスが怖い」。吹っ飛ばした札の行方に太一と千早を認めて「や、ごめん」と微笑む、その余裕が怖い。ガッチリ勝利した後に「実は熱を出していた」と誰も気づいていなかったクィーンの体調をも気遣うアラタさんの完璧さはちょっとどうしようもない。それこそ今は話の中にしか出てこない、現名人に対してどーなるか、ってお話だろうなあ。この辺りの「今までの強さとは一枚レイヤが違う」という描き方は流石だった。

クィーンが追い上げて両者拮抗してる辺りでの、札がほぼ同時に別方向にすっ飛んでゆくという試合描写がホンマに「あ、これは今までと次元が違うや」って感じでおもろかった。アラタが爆速でまとめて数枚払い飛ばそうとする、その中の一枚をピンポイントで弾くクィーンの正確さ、というね。見た目に判りやすい必殺技の応酬シーン、みたいな。