ガルガンティア/ちはやふる

翠星のガルガンティア・9話。謎の場所・霧の海にて各々の目標を追うご一統。レドさんは敵性勢力ヒディアーズの殲滅を、ピニオンさんは兄貴の弔い合戦たるお宝を。ヒディアーズ/クジライカの数は膨大とはいえチェインバーさんにとては造作も無い仕事であり、殺戮の先に見える彼らの本質は…おやおや? これは? というお話。

マザーエイリアンを越えて幼生の姿が見えた辺りからちょいと怪しい雲行きになり、最深部のデータから明らかになるのが「ヒディアーズ=人間」という衝撃の事実。てことで大きなシカケを施された、起承転結でいうなら「転」の回っすかね。理由も定かでない永遠の戦いの相手が実は同属だった、っちうのはSF的に定番だけど、このタイミングで明かすっちうのはなかなか上手い。幼生や未成熟体(だろう)の姿を人間に似せ、んでもってチェインバーにそいつを潰させるという「ショックの増強演出」も効果的。これが最後まで人外の姿だったらここまでの衝撃もないだろうし、またレドさんもフツーに任務完了してただろうな(海賊をアッサリ排除してたしね)と思うと、人にとって己の似姿ってのは重い要素なんだなあと思ったりする。

チェインバーさんはクジライカとヒディアーズがほぼ同一のものだと分析してたけど、ひょっとして人とヒディアーズを比較しても「同じ」っちう結論を出していたんと違うやろか。多分それは最高機密事項であり返答拒否されるだろうけどね。そう思うとヒディアーズさんの手法はアレだ、マンアフターマンとかを思い出しますな。宇宙イカ人間だ。ガルガンティアにはイカ娘が居るけど。

ゲストとしてピニオンの兄貴分に小野大輔、過去世界のナレータに井上喜久子となんか豪華なキャスティング。よく考えたらこの二人、今期宇宙に旅立った人とイスカンダルで待ち受けてる人のコンビなんだな。

ちはやふる2・20話。団体戦優勝の瑞沢、優勝旗の重さを噛みしめるのもそこそこに千早さんは指の故障のケアをしなきゃならないのである。棄権するか否かの選択を迫られ、「左手で取る!」と宣言する千早さんであるが…ってとこだけど、まさにこの天王山クライマックスでハンディ戦になるとはなあ。ライヴァル同僚ほぼ万全の態勢で試合に臨んでくる中、一人だけビハインド持ちの千早さんの運命やいかに。ちうかアラタさん気にしたりしてる場合と違いまっしぇ千早さん。

一大バトル前のタメ回だけあって、各キャラのベース構築に余念が無い状況。アラタさんは少々丸くなって千早・太一をチームと認識しているが、太一はアラタを敵として捕らえてるとか、この辺の機微は今までの積み重ねですなあ。そして満を持して舞台に登るクィーンは鎧袖一触、全ての者を薙ぎ倒したるわと意気軒昂である。一見今までと変わらぬ「実力に裏付けられた傲慢さ」に見えるが、アラタ以外視界にも入っていなかった孤独な状況と比べると、倒すべきザコなり何なりで他者を「相手」として認識してる分だけランクアップしているのかもしれない。多分根底には団体戦を見た時の、言葉にできない何らかのモヤモヤした感情があるんだろうな。それが言語化されたときにクィーンは、あるいは試合はどうなるのか。ま、何にもならないかもしれまへんが。

にしても、かるた界の親玉さんっぽい人まで「団体戦は雑でつまらん」とかいうキャラとは思わんかったな。なんかいろいろゆがんでねェかしら。

中盤、仮眠取ってる太一の横で回想してる千早さんのシーンはちょいと長々しかったな。これは原作からアニメへ移行する構成上、上手い区切り点を作るための調整っぽい感じはしたところ。…寝てる太一の横っちょに膝ついて這ってゆく千早さんの作画がやたらと間合い取ってあっておもしろかった。一歩近づいてはスカートが揺れ、というあの丁寧さは、上記の回想の長さとの釣り合いってな意味もあったんだろうか。