ガルガンティア/ちはやふる

翠星のガルガンティア・8話。船団長の死はコミュニティの分裂に拍車をかけ、若い後継者はその対処に苦慮をする。とまあ今回はリジットさんの視点メインの回であり、とても重い役職を引き継いだ彼女のアレコレのお話。

能力も資格もあるけれど経験に乏しいリジットさんが、目の前の重責に押しつぶされそうになる、というあのじたばた加減は見てて実に胃が痛い。ベローズさんの支えによって「どうか私を助けてください」の言葉を発し、やっと少しだけ肩の荷も下りたことだろうか。言ってしまえばどってことないこの些細な行動だけど、プレッシャーの真ん中に居ることで他者への助けさえ思いつかなくなるというのはよう判るなあ。それまでの彼女がひたすら「大丈夫」とだけ言ってたのも、その余裕の無さの現れやよね。…パッと見ィでトウが立って見えるけど、リジットさん二十歳デコボコなんだよな。そらしんどいわいな。

そしてレドさんはクジライカ/ヒディアーズ殲滅の為に船団に別れを告げようとしている。船団分裂の原因ではあるが、彼に悪意や二心は無く純粋に己の倫理に照らした正道である。でも、リジットさんと同じく、余裕の無さは否めないよね。ガルガンティアで経験したアソビや余裕も、この行動を覆すには至らない。そらまあ、彼の存在意義といってもいいようなものではあるからなあ。この地球と元の場所が6500光年隔たっていたという退路の絶たれ方もあり、結局ヒディアーズというモノの謎が明らかにならん限り現状の変化は見込めなそうである。単純な人類の敵みたいなオチにはなりそうもないが、さてねえ。

あとはまあ、ピニオンさんですかね。物語の曲折点の「顔」みたいな象徴的キャラになってますが、彼のお宝探しがどういうオチを招くのか。どーもロクなもんじゃねーよーな気はしますなあ。ピニオンさん、根は気のいい兄ちゃんではあるのだが、ね。

ちはやふる2・19話。VS富士崎戦の決着まで。経験値も総合力も上回る富士崎を相手に、もうなりふりかまわずあらゆる手を使って勝ちに行く太一さん。北央を意識させ、待ち時間を使い、送り札で擾乱し…当然それは他の部員たちもそうなんだけど、それまでが割とストイックで「プライドの高い」勝負をしてきた彼が、ここまでの泥臭い粘りを見せるってのが本気度なのである。んでもって最終シーケンスで北央戦での「札合わせ」を再現し、ああこいつらも団体戦の経験を積んできたんだなあと思わせる、と。上手いね。

いやホント、かるたというお題でここまでのテンション、スミレさん言うところの「見てらんない」ようなドキワクを出せるってだけでもスゲエとは思う。団体戦ならではの各人のアンサンブルを盛り込み、散漫にさせずに描ききる高い完成度。エエトコでかなちゃんの情感たっぷりな句の評価が差し込まれるのがまた絶妙で、勢いと緊張感を削がずに話の奥行きを広げている。…フォーカスが千早から太一に移動したまま終わっちゃったのは(千早主人公の作品としては)ちとザンネンだけど、まーアンタにはこの後の個人戦もあるだろうしね。って指の故障は大丈夫なの? なの?

最後んとこでアラタさんが登場して場を持ってゆくってのはこの作品の定番パターンですな。太一っちゃんが顔曇らせてないのは割と珍しいか。あとクィーンはどうしてんだろ。この勝負について何か得るトコあったんだろうか。ま、ちくちくとヤらしい毒を吐いてくれるんだろうとは思いますけどな。