ラグランジェ/人類は衰退しました

輪廻のラグランジェ season2・5話。あいつら一体なにやっとんねんと気をもむノウムンドゥスの面々の心配をよそに、ディセルマイン艦に潜入(?)した三人娘たちはとりあえずはガールズトークなのんびり状況なのである。ランちゃんのお部屋での黒歴史ポエム発表会がのちのちの伏線になってくる辺り、律儀というかランちゃん弄りに余念がないというか。しかしまあ、そんな平和な状況がいつまでも続くとは思えないのであって…というね。

柔和かつ紳士的に応対するディセ兄に対し高評価を下すまどかさん。ワシら視聴者が知っている彼の冷徹な面を知らないからしょうがない所ではあるな。対談中の如才ないディセ兄はともかく、後ほどまどかとタイマンで会話している辺りのダイアローグはかなり本心に近いものではあろう。星民を思う気持ち、旧友ヴィラジュリオへの容赦ない感情。多くの命を背負いつつあえて憎まれ仕事をも辞さないというその態度は、指導者として一つの姿ではあろうけれど…ねえ。要所々々で見せるあのゲッスい微笑は自嘲した方がよろしいかと思います。さもないと悪役ポインツが加算されてゆきますので。はい。

物語後半はユリカノとの精神干渉実験に望んでしまうまどかをめぐり、ランちゃんは慣れぬえらぶつ演技、ムギナミは得意のスニーキングでもって彼女を救おうとするという流れ。…「輪廻」の世界でかなりヴァイオレンスな身体言語…具体的にはビンタ合戦でもって会話するオリジナルユリカノとまどかのご様子が「いかにも」でよろしい。この作品の女性はパワフルよね。どうやらまどかの身体にはユリカノが入っちゃったようですが、さて。

輪廻のラグランジェ season2は二階建てか。てことで引き続き6話。なんか知らんエライことになってるディセルマイン艦であり、その上まどかとユリカノの精神が入れ替わっちゃったもんだからもう収拾が付かない。…全体的に「えらいこと詰め込んだなー」という、イヴェント盛りだくさんの回なんだけど、とにかくドタバタとした状況だってのがよく感じられたので悪くない。多分このてんやわんや感を狙った結果なんだろうな。いいや、おもろかったし。

大枠としてのネタは、入れ替わったまどかとユリカノという「アノマリー」によって各人/各陣営のギャップ、ボタンの掛け違いが埋まってゆく、というもの。偶然と幸運によって事態がどんどん好転してゆくという流れは、きたらもうちょっと…そうね、自然な方かあるいは間逆にあからさまな天丼コメディな方か、どっちかに振り切った方が個人的に好みだったかなと思う。ご都合主義がちょっと中途半端だなという印象が残ったりしたのでね。ま、それは好みの問題か。

とまれ、話のヘソはその二人、まどかとユリカノ。ユリカノさんがギャップを橋渡ししてその差を繋ぎ、そのキッカケを作るのがまどかである(ついでにメインの野郎二人をぶん殴りそうなのも)。消えてゆく直前、思い人であったディセ兄に、笑いながらそして泣きながら「大っきらい」と言い放つユリカノさんの強さと弱さがよろしいな。今回1話だけで、この人の魅力が良く感じられるように作ってある。自分を証明するために過去の恥ずかしい話ィー、を喋っちゃわなきゃならないヘッポコシチュも含めて、ね。

あと今回は、本筋のワキにちりばめられたコメディネタも楽しくてよかったな。余韻引きずりつつ宇宙の彼方に去ってった直後に「みんなーただいまー」と帰ってくるまどかさんとか、自我を発現させたものの相手がホンマにまどかさんなのか「戸惑っている」ウォクスみどりとか、ムギナミさんの「おのれーレガリテめー!」とか。こういう抜いたギャグ、上手いよね。好き嫌いはありそうだけど。

人類は衰退しました・7話。あ…今回は助手さんが居ないのか。過去譚というよりは時系列シャッフルに近い構成なのかな。理由はよう判らんが、まいいや。冒頭、いつもの如くお菓子を妖精さんに供している主人公さん。ああお菓子がたくさんほしい、となれば主人公さんのクローンを作ってエエですか、ダメですかそれでは…ってことで、いつもの「言葉は通じるが抑制は効かない」という妖精さんの暴走による不思議なお話、ですな。サブタイ見るにこの主人公増幅は時間軸をいじったことによるもの、つまり「ドラえもんだらけ」のノリでしょうかね。

日時計、チャリオットのお爺さん、せくしぃな女医さん、謎の犬。様々かつ印象的な各要素が微妙に差異をはらみつつ何度も反復される、という…描き方によってはかなりシュールな、いっそディック的とも言える状況でありソコハカとなく怖い感じもする。ある程度のほほんとした雰囲気を維持しているのは、毎度のようにメルヘンな画面設計とマイペースな主人公のキャラによるところが大きいだろう。うむ、こういう時間ループモノは最終的な整合性/あるいは不整合性が醍醐味の一つですからな。次回以降の展開が割と楽しみ。

時間の流れから孤立したタイムスリップ、もといバナナスリップエリアを称して、妖精さんは「やさしい空間」と言う。このニュアンスがとぼけててエエなあ。科学的にというよりはSF的に、細けェことはいいんだよ空間ってこってすよね。あと助手さんはやはり言葉を持たないお人だったようで、その上で明晰な頭脳を持つってのも興味深い。確かドイツ語辺りでは、言葉と思考ってのはほぼ似たような単語だったような気がするが、そう思うと更に興味深いねえ。