ラグランジェ/峰不二子/人類は衰退しました

輪廻のラグランジェ season2・8話。前回大枠では騒動も一段落したっぽかったが、さてこれからどうすんだろ…って割と普通にフィラーエピソードが始まってた。あ、もうそういうノリなんだ。いやワシは別に構わんです。お嬢さん三人や三バカ野郎の気の抜けたドラマが繰り広げられるのなら、あまり文句もなく楽しいなと思うでしょうし。てことで今回はジャージ部の危機。ジャージ部っちう名前からして勝手に名乗ってるだけだろうなと思ったらその通りであり、ならば正式な部として申請すればエエやんってことですが、その為にはあと一人部員が必要。渡りに船と付きまといの後輩生徒を勧誘するも、どうやら彼女はちょっとジャージ部を勘違いしており…という。

ロボット(ウォクス)乗りたくてジャージ部に来たというレイコさんであるが、彼女に事実を明かしつつも「でも自分たちの活動を見てほしい、やりたいことをやるって素晴らしいから!」ってのを行動で(あと偶然で)見せるまどかさんが頼もしい。その言葉に感動しつつも、いやそれゆえにすんませんしたっ! ちうてレイコさんは去ってしまう、というオチもヘッポコでよし。あのランちゃんがため息つくくらいに更なるドジっ子、というキャラ属性は余人に代えがたいものがあるので惜しいとこですけども。…どうでもいいが、お名前「ミキレイコ」ってアレか? 見切れてる子っていう意味か? それで冒頭からチラチラ出てたのか? うーんしょーもないな!

メインのお話のほうは、作品初回いらいずうっと胡散臭かったモイドさんがやっぱり胡散臭いですよ、っちうところで次回にヒキ。まァこのままヴィラ兄ディセ兄が退場するとは思ってなかったし、その辺がどうなるかも気にはなりますけどね。あとあの石版が変形して小さなアミュレットみたいになった時、あの設計図みたいなヴィジョンは何となくアンティキティラ機械みたいでしたね。ひょっとしてその辺もからめてくるのかな。

LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜・7話。名前はカストロっぽくて容姿はゲバラっぽい革命の闘士が、アメリカっぽい国とソ連っぽい国の鍔迫り合いをかいくぐる。終末時計だのキューバ危機だの、そういう時代のお話であるな。基本的には手段を選ばずお宝を掠め取る不二子ちゃんも、マジモンの男…でかい人間に対してはちと甘くなる。ロックスターは苦手だけど、ね。

キナ臭さと浮かれ気分が混ぜこぜになったようなあの時代、正確には現在の時点からの懐古も含めたあの雰囲気。世界の命運とある男の情熱が両の天秤でつりあっちゃうような、ちょいと古臭い物語とよく合致した舞台設定ではある。何よりあの、東西両陣営の秘密諜報室の絵面よな。それぞれ赤と青に統一された真っ暗な部屋、真ん中にドンと置かれた透過光の世界地図、核だ防衛だ先制攻撃だとがなり立てるタカ派の副官…とまあ、この雰囲気だけで割とたまらん人も居てるのではなかろうか。ワシとか。

そんな「終末一分前」の世界危機が、複葉機上に立つ五右衛門の刀一閃でチャラになっちゃうのでして。普段のルパンなら別段意外でもないこのギミックが、何故かものすごく非現実的なおもろさを帯びている。全編にわたって渋いトーンで語られる状況にあって、マンガ的な五右衛門の刀技が白昼夢のように光りつつ全体の心棒となる…そうね、これは正しくファンタジィだ。

理想を持ちつつも現実から離れず、青年のような情熱を熟成した思考で統制する…という、ちょっとカッチョ良すぎるゲバラっぽい人に東地宏樹。この声であんなこと語られちゃそらオチるわな、という雰囲気を出しちゃった段階でもう勝ちである。あと東西両陣営も、宝亀に有本とエエトコ連れてきてますねえ。うん、なんか普通に楽しかった。こういう変化球が投げられるのも、シリーズモノの利点だな。…佐藤大脚本か。確かになんかこういうの書きそうだわ。

人類は衰退しました・9話。いろいろあってアクシデンタル島流しになっちゃった主人公と妖精さんたち。しばらくはアンニュイなままの妖精さんたちであったが、割とどうでもいい家具一つ作ったのがキッカケで労働と文明と文化の発展に目覚めてゆく。主人公さんは素直にそのエスカレーションに乗っかって、お菓子作りを武器に好き放題。パンはないけどお菓子はあるのじゃよー! …野放図な開発はやがて島の生態系を毀し、後戻りの出来ない衰退しましたの道へ…っちうね。

てことで、社会と文明のシミュレーションという楽しいお話である。以前の話、ふじょしさん「Y」登場回でも言うたけど、こういう「既存の歴史をパロディとしてなぞる」っちうネタは上手いことハマるとおもろいねえ。そのときは竜の卵と虚航船団を挙げたけど、藤子Fとか電脳コイルのヒゲ話とかでもエエか。…あとはまあ、主人公のキャラよね。決して粗暴ではなく教養も知性もあるけれど、どっかドライで人を喰っててズバズバと言いにくいこと言っちゃうタイプのお嬢さん。今回でも乗るだけ乗っといていざ島文明がアカンとなったら「じゃここ放棄して逃げましょうや」と躊躇いもなく言いぬける。うん、こういう人だからこそ調停官として有能にやってこれたんではありましょうな。

…気になったのは冒頭からのエピソード、妖精さんたちのイジメ。彼らにもそういう側面があるのかという意外さと、あとそのイジメられっこさんが普通に「たぶんしんだ」と言われてそれっきりだったこと。あーあー、そうなの…? ワシてっきり文明崩壊したときに何かの形で助けに来たりすんのかなとか思ってたよ。まあ、あの妖精さんたちにワシらの思い描くような「死」があるのかどうか、よう判らんですけどねえ。

あーあと、妖精さんが入水自殺のことを「にゅうすい」言うてましたが、直訴状を「ちょくそ」と書いてるのと同じレベルなのでしょうか。どうでしょうか。まいいや。