ラグランジェ/峰不二子/人類は衰退しました

輪廻のラグランジェ season2・11話。世界はいかにもクライマックス前ってな感じで天変地異、そしてまどかたちはいつぞやの異世界に似た場所に閉じ込められている。三人娘がそれぞれ同じ敵…ディセルマインと戦っているってことは、このディセ兄は何か影や幻のようなものかしら、と思ったら違いました。三人が別々に戦ってたんじゃなくて、お互いが「見えていなかった」ってことなのね。見えるってのは視覚的にもそうだけど、ユージョーとか繋がりとかそういう意味でも、ね。

構造としてはまあ、それほど奇を衒った所のないロボアニメのクライマックスではあるんだけど、ちょこちょことこの作品らしい変化球があって割とヨシ。お互いを認識した三人娘が巨大な敵を前にしてまずやることが、持ってきたおべんとバーガーを喰うことだってのもそうだし、大仰に悪役演説をぶちかましたモイドさんが直後ぶん殴られ→顔ボコボコの両脇に警備員状態で事情聴取されてる、ってのもそうやなあ。こういうちょっとヘボっちい、けれども各人の生理的感覚に忠実なディテイルは好きである。

今回はちょっと作画的に頼りないところはいくつかあったけど、アクションやメカ作画も多くてサーヴィスは良かったかなと。ラスト近辺、相手の剣を白刃取りとかバックドロップで放逐とか何故か繋がるケータイとか、前シーズンを思い起こさせるネタを繰り出してたのも感慨深かった、かしら。

LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜・10話。ルパンが不二子ちゃんを追っかける理由は、得体の知れないふくろう紳士に依頼を受けたから…というだけではないのだろうな。本人も言うように、ルパンさんはめんどくさい獲物をどう盗むかというチャレンジそのものが好きなのだ。だからってこんな、夢か現実かわかんねえ世界に放り込まれるってのは聞いてねェぜ、っちうお話。

フゥーム…全体の流れはどうも観念的な方向に進みだしてるようだなあ。人体実験幼児虐待、とにかくかなり昏い過去を持つ不二子さんであるけれど、さて…今になってあのふくろう紳士が不二子さんを求め、かつ依頼相手を幻覚で翻弄する理由ってのは何だろう。うん、別にこれといった理由は無いってのが正解である気もすんですけどね。

とはいえルパン言うところの「人格の上書き」っちうのが気になるところ。不二子さんの上記の履歴は本人のモノなのか否か、っちうね。原作でも明らかになってない若かりしころのネタをここで設定しちゃうという大ネタをホンマにやるのか、あるいは単なる記憶改竄なのか。…もう割と終盤だし、このままくねくねと不二子さんの出自をめぐる迷宮話で最後までいっちゃうんでしょうかね。うーん、ワシとしてはもちょっと悪党とお宝のドライなチャレンジ話の方が好きなんだけどな。

人類は衰退しました・最終話。学舎にて人間の色んな業に出会う主人公の巻。一見平穏な野薔薇会の面々も、一皮剥けばどいつもこいつも…。いつか殺してやる日記をつけていたり、髪の毛フェチでテイスティングもしてたり、実体としての性根はクソヤンキーであったり、人形相手にヤンデレ暴走していたり。そんな隠された驚異の人間性と対置される、Yと主人公の裏表のなさでもって、二人は今後も腐れ縁となるのであり…。

いやそれにしても、いくら裏表ないっつっても何だ、主人公さんのこの…イヤミったらしくてあてつけがましい振る舞いは…こらまた悪っるいなーおい! 後年の主人公さんのキャラにも通じる強キャラぶりだけんど、そんな余裕がガラガラと崩れてゆく上記の「人の裏面」の怖さという話でもあるな。ま、何をどうやって調整つけたのかは知らんが、一応手打ち式もやったみたいやし、良かったのだろうかねえ。

主人公たちが卒業することで廃校となる学舎。ああ、こういうささやかな世界が終わってゆくという描写は結構胸に来るものがあるな。いろいろとヤなところもあったけれど、一つのコミュニティが記憶を残して消失するってのは単純に物悲しい。一種の技術的な終末SFであるという認識を新たにすることだなあ。うん、最終回として良いシメではなかろうか。

●総評。緩やかに文明の崩壊してゆく人類社会と、次代の新生物とが関わってゆくお話。ちうとアレっすね、地球幼年期の終わりとかそういうナニっすね。いや出来上がったモノは名作劇場みたいなパステル世界にどこぞの菌類みたいな顔した妖精さんたちがわやわやいらっしゃる、そんな絵面なんですけどね。

とりあえず、ひねくれたお話である。設定の重さと画面の軽さの対比もそうだし、主人公の性格もそうだし、何より脚本がそうである。いやあ、毎回々々、一体今度はどんな方向に話が進むのやらとフツーにワクワクしてましたよ。寡黙な助手少年がいかにして「自分」を獲得せしかというあの回の、アクロバティックな「セカイ系」ぶりったらねェわな。ワシの頭が固いだけに、こういう新鮮なアイデア勝負の作品にはどうも点数が甘くなる。だっておもろいもんねえ。

あと、上でも書いたけど主人公さんのキャラだよな。ぽわっとしたような外見ながらどうも俗っ気が濃厚で、実にエエタイミングで身も蓋もない言辞がポロリとこぼれる。原作がラノベだからこういう凝った言い回しも多くなるのだろうが、上手い具合にキャラクタの造形に寄与しててイヤミが無い。いや主人公さんは結構イヤミ言うたりはすんですがそういうこっちゃなくて。そして中の人たる中原麻衣さんの演技がまたベストでして、ちょこちょこ出してくるスのような演技の置き方がエエよなあ。「えっ何、よく判んない」とか、繰り返して聞いてはクスクス笑っちゃったよワシきもい。

うーん、今期でもかなり楽しんで視聴した作品の一つでした。続編あればまた見たい。けどあの話数シャッフルはちと意味をはかりかねたかな…別に時系列順でも問題なかったような気がする。いや、入れ替えててもそらそれで構わんし、シリーズのシメ方はとても良かったとは思うけれど。