ラグランジェ/峰不二子/人類は衰退しました

輪廻のラグランジェ season2・7話。先週よりの続き。歯ァ喰いしばれェ! のまどかさんによる、一星の指導者二人のマジ腹パンシーンからの開幕である。…うーん…この作品、あるいはまどかさんらしいアバンであることだなあ。それに続く「お前ら王様失格じゃボケ」というまどかさんの言葉は、毎度ながら大雑把すぎて弾着地点が結構ズレてはいるものの、そこに真実も大いに存在するのが(腹パンされ男たちにとっては)悩ましい。大衆としての民と、個人としての民。「王」が救うべきはどちらかなのか、あるいは両方なのか。

ちょいと屈託しつつもボーイズトークの後ちゃんと会議には出席する兄さんズの二人。結果前向きな道筋を示し、しかしこれで万事解決には程遠いだろう。相変わらず彼らの世界の危機は(時間的余裕はあるが)変わらないし、またウォクスがらみの不穏さもある。ウォクスの不穏と言えば三人娘の南京錠の誓いですなあ。前シーズンのそれは「再会の約束」ってことで陽性なフラグであったのだけれど、今回の「私たちはウォクスで戦うことはない」っちう誓言は…どうだろうねえ。この場所ごと吹っ飛んでしまうフラグじゃなきゃいいが。あるいは戦いではなく平和のためにウォクスを起動するという、まだ穏健な方向性なのかもしれんな。

兄さんズの去り際、各々妹ちゃんズに対する関係性の正常化を行うというパートは重要やよね。ここをないがしろにしちゃうとそらまあ、モヤモヤしたものが残るだろうしな。あとユリカノの「大嫌い」をめぐる三人娘の会話は…「言わずとも判る」という概念については扱い注意ですよね、と申し述べるに留めておこう。うむ。

LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜・6話。閉ざされた女性の世界、女学校の耽美。その百合ん百合んでちょいと時代がかった雰囲気にもよく合う立ち姿の不二子ちゃんである。女学校といえば百合でありお姉さまであり、苛めも嫉妬もあるでよ、というワケですよな…と思ったらなんと、イゾルデお嬢さんはオスカーさんの変装であって百合を覆いつくす薔薇の世界でした、という…一体どんなヒネリやねん! てなお話である。

いやもう、今回は梶裕貴のオスカーさんに尽きましょうてよ。女学生に変装してる自分の容姿・器量へのすんごい自信とか、不二子を仕留めた前での陰々とした詩の朗読とか…やることなすこといっちいち変態くさい、それも陽性ではなくジットリと陰性な風情がなんかもう、すごい。何よりあの声ですわな。出演した時点でワシ「お、なんかハスキーな声の演者やな。女学生にしてはちょっと声が低いが、ヅカ的な風情をかもし出すって意味ではアリか。それにしても誰だろう」とか思てたのに…梶くんかよ! 言われてみれば確かに梶くんだよ! こういうの、石田彰以来だなあ。

いやまあ、本編の方もですね、自動小銃で部外者を追い立てる桑島声の女学生だの相変わらずの銭形がらみの猥談だの、なかなか楽しい要素が多くて面白かったのですよ? イゾルデという名前にしてわざわざ黒髪で登場させ、おぼこさと堕落さを背反状態で提示してくる演出とか…。でも全部梶くんが持ってったよね。しょうがないよね。おもろかったからいいです。うん。

人類は衰退しました・18話。妖精さんによる時空ループにとらわれた主人公の彷徨。タイム「スリップ」とタイムパラ「ドッグス」とはまた人を喰ったネタであり妖精さんらしいっちゃらしいが、さておき。このループにはまた、助手さんの彷徨ももう一つの要素として組み込まれており、その二つのスレッドはやがて一つにより合わされてゆく。自身の「容」が不確定な助手さんは、言葉(ロジック)によらずゲシュタルトを頼りに自分の容を捜し求める。

主人公の観測によって波動が収束する、助手さんの不確定性ってことですか。「おれに関する噂」によって「おれ」を決定するという…、人一人のキャラクタを主人公さんが決定するという…「エエの? それでエエの?」ってな感じの面白さだが、因果的にも助手さん的にもそれがWinWinなら問題ないか。妖精さんたちが主人公を「人間さん」と呼ぶのもこの辺の平仄ネタなんだろうかなあ。人間原理というか観測効果というか。

総体として、SF性と奇譚っぽさを高濃度に含んだお話になっている。途中で出てくる若かりし頃のお爺さんらしきお子さんとか、それに付随する腕日時計の始まりのないループとか…各要素が双方向に影響を及ぼしあって多面的な構造を見せる、余裕と遊びのあるつくりが心地よい。いや、これはワシ、かなり面白かったぜよ。