氷菓/坂道のアポロン/つり球

氷菓・7話。温泉で入浴でサーヴィスでー! ちうといて、実際にサーヴィスされるのは奉太郎さんの結構リアルに細っこい肩甲骨とか腰骨とかケツとかである。んでもってちたんださんの入浴シーンは奉太郎さんの妄想ヴィジョン越しという体たらく。…うん、そうね、そういうもんだよ実際。てことで、温泉の障壁の向こう側を想像してのぼせたりちたんださんに迫られてやっぱし折れたりと、今回もいちばんかわいいのは奉太郎さんである。あと、何だかんだで甲斐甲斐しく推理稼業のお手伝いしてるちたんださんもかわいい。こーしてみるとお二人さんってごふーふみたいですねー、と日記には書いておこう(古い)。

今回の謎解きは民宿の首吊り影について。これは奉太郎さんのポリシーなのだろうが、それがホンマかどうかはともかく「それらしい説明が可能であればオッケー」という、その類のミステリである。今回もミステリギミックはかなりどうでもいい…いや、あの推理が本当ならば姉妹にとっては結構生々しい問題ではあるか。とまれ、仮説と前提を積み上げて上手いこと「ありそうな話」に持っていく手際のよさが気持ちよろしい。推理そのものも枯れ尾花か否か。その辺はまあ、言わぬが花の枯れ尾花。

活発な姉に豊崎愛生、控え目な妹に小倉唯。どちらも舌っ足らずな少女声が得意な方ですが、上手い具合のタイプキャスティングになっててなかなか手堅い。…にしても、中村さんに茅野さんに小倉さんにと揃うとなんだかアクエリのようである。こっちの中村さんはゲスっぽくないっすけどね。でもどっちの中村さんも別の意味で童貞くさいっすけどね。まいいや。

坂道のアポロン・8話。文化祭セッションで人気になってたお二人さん。「よし逃げるぞ」ちうて三人手ェ繋いで走り出す、っちうのは気持ちエエやろなあ…そんな経験全くねェので想像でしか判んないけどさ。一方のりっちゃんはボンへ心惹かれつつあり、こらまた微笑ましいことでとか思ってたら、淳兄さんのヤサグレ具合とユリカお嬢様の思いつめた行動がドミノ倒し式に彼らにも影響を及ぼし始め…っちうお話。

何の気なしに引っ張り込まれてった学生運動にて、淳兄さんは活動の情熱とともに周囲の影響の大きさを見てしまう。多分兄さんはああいう活動に一身をささげるには優しすぎるのだろう。その優しさ…現状の心の弱さにハマりこんじゃったのがユリカお嬢様の強引なアプローチだった、っちうワケやね。…昼メロやなあ。このコンビネーションは良くないぞ、ヘタしたら二人揃って転落コース一直線である。ユリカさんのご両親の「顔が見えない」という演出が余計にヤバい。つまり彼ら両親は血の通った人として演技させられてないっちうこっちゃもんね。あー、うーん、二人を救い出すとしたら誰の役目になるのだろう。千太郎? ボン? それとも?

酒とタバコとハイミナールに溺れる夢破れた革命闘士、っちうのには何やらノスタルジックな雰囲気があって良い。いや良かねェけど。あと淳兄さん、標準語と長崎弁が状況と感情によって使い分けられるのも細かくて、また彼の感情の位置がよう表現されててよろしい。うん、地方から都会に出てきたらあんなんなるよね。ワシがそうだからよう判ります。

つり球・8話。さくらちゃんを探すご一統、そして見つかった彼女は母の面影を求めている。両親が不在であるユキさんは、そんなトラブルも含めてナツキたちが羨ましく、また彼らの繋がりがなくなって欲しくないと思っている。…どちらかというと狂言回し的な要素もあるユキさんであるが、やはり主人公としての立ち位置ではあるよね。ケイトおばあちゃんの前で自分の感情を吐露するとこは、確かにこの作品のメイン構造を成していると思えるくらいに骨の太いシーンだった。

同時に今まで敷設されてきた謎や背景がほぼ、この回で明らかになる。ラスボス…というか作品のクライマックスたる目標は、あの沖に沈んでいるハルさんのご同輩であるようだ。水を介して人を操るその存在は、空気中の水分が高まると飛躍的にその危険性が増すワケで…ってとこで、台風来たりてさあ大変、ちうとパトI映画を思い出しますがまあそれはさておき。「龍」と称されるその存在、さて彼らに釣り上げることができるか否か。

ハルさんの決意は、ここから去ってってしまうことを含んでいるようだ。何気ない(ちうても視聴者たるワシらにも明らかなんだけど)会話から彼の別離を感じ取ったケイトさんが、それを糾すでも止めるでもなく「お別れのときは何て言うんだっけ?」と、向こうにゆだねつつ認めてんのがイイね。おばあちゃんはやっぱし、デカい。お話の構造上、ハルさんが去ってくのはしょうがないかもしれないが…ケイトさんはこのまま元気でいてほしいものだなあ。