氷菓/坂道のアポロン/つり球

氷菓・8話。他人の作ったミステリ映画の結末を考えてくれ、と言われる古典部さんたち。ハルヒの初っ端回を思い起こさせるような自主制作映画を延々見せられる主人公たち、当然辟易してると思いきやちたんださんと里志さんは何か楽しそう、ってのが彼ららしいと思った。「辟易する」と書いたけど、こっちは映画そのものじゃなく「へたっぴい映画を再現した作画」を見てるのであり、おのずとそこには「こんなんアニメでホンマようやるわ」という視点が発生してくるのでアニメ見てる側にはべつだん退屈な思いはしない。…監督の差か、ハルヒの時とはかなりアプローチの異なるものだったしね。

さて。このまま妥当な結論出して「なるほどねえ」で済めば何てことない話となるが、今までのことを考えるだにどうもダウナーなオチを用意してんじゃねーかという気がしてなりませんよね。アバンの謎の電子的やり取りや陰気臭いにも程がある悠木碧声のエバさんなど、先行きを不安にさせる要素が多いってのもあるでしょうね。ま、詳細は次週以降。

人使いの上手い「女帝」ことイリス先輩。着実に外堀を埋めてゆくように奉太郎たちの行動を規定してゆく、その自然な計算深さが女帝の名の所以でしょうか。ゆかな声がそのキャラクタにバッチシであり、これなら好きに操って下さいええゼヒともゼヒとも、っちうお人も多いかもしれない。ワシとか。

坂道のアポロン・9話。今回も割と自分だけのキモチと思い込みによって、千太郎とりっちゃんから距離を置こうと考えているボンである。感情によって近づいたり理性によって離れたり、そういう相反するヴェクトルにふらふらすんのあり若いってパゥワーよね。その一環としての「クリスマス会」にはちっとも馴染めなかったボンであるが、りっちゃんの方も同じくゆらめいておるのであって若いって大変よね。んでもって淳兄はヤサグレの裏のジェントルな心とともにユリカさんの元を去ろうとするが、最後の一瞬で電車に引きずり込んじゃうのですから若いって輝きよね。っちう話。

最後の淳兄さんとユリカさんの駅のシーン、ああなるほどこれでお別れしてお互いほろ苦い心もって生きてゆくんだな…と思わせといて、最後の最後に電車で一緒に去って行くのがなかなかドラマチック。ユリカさんがお見合いの席から逃げてきたこと、彼女の過去の台詞のフラッシュバック、涙、などなどが一瞬のうちに交錯してくるりと人生の方向が変わる。あの機微は良い…っちうか、見てて「おおっ」とか声出ちゃった。こういう時代だからこそのドラマ、っぽくはあるよなあ。少なくとも「駅のホームで駆け落ち的に逃げ出す二人」っちうシーンが似合う時代ではある。

果し合いという名のお別れセッションはこの作品らしく豪勢な作画。いかに実際の演奏シーンを資料として使っているにせよ、繰り返しもナシに実際の音に合わせて作画するってのは大概なしんどさですよ。その上でちゃんとアニメとしての画風が乗ってて、味気ない「リアル」に堕してないのも好感が持てる。カネと手間のかかった作品でんな。

つり球・9話。宇宙人の人類あやつりに対処するため、秘密組織ダック! さんたちは本格的に行動を始める。ハルさんとのしがらみから独自行動をとるアキラさんをよそに、自体はどんどんと面倒な方向に。そしてハルさんの「泣いた赤鬼」的な奮闘は実るのか。ユキさんの友への思いはどうなるのか。あっちこっちでエライコッチャな中、舞台は最終局面に向けて次回に続く! である。

なるほどね、ここで「地球を救う」っちうことに繋がるわけか。今んとこは地球というより江ノ島レベルだけど、もうすぐ来るらしき台風の影響があれば確かに地球が危ういか。…元凶の宇宙人さんの素性が知れないのでもう一つモヤモヤしたものが残るのは、わざとだろうな。ひょっとして単に「友達がいなくて寂しい」という意識が暴走しているだけの龍なのかもしれん。判りませんけどね。

悲壮な覚悟で臨んだ割に、なんかすげえアッサリと吹っ飛ばされた妹のココさんがちょっとかわいそうでした。見せ場が見せ場が。でもあの近辺、久々にすごく気合の入った「エヘクトアニメーション」になってたのでワシはまあ満足。クリーチャのような海の触手がカッチョ良かった。あとあの…ダックさんたちが使ってた装輪装甲車、ストライカーみたいだなーと思って画像検索したら、どうもBTR-70とBRDM-2辺り、ソ連(ロシア)の兵器っぽいな。安うに払い下げでもしてもらったか? まさかにダックさんたちって東側組織、っちうわけでもないだろうしねえ。