ラストエグザイル

ラストエグザイル-銀翼のファム-・7話。知らんうちに約定の「敵軍用艦15隻の鹵獲」まであと1隻までこぎつけたファムたちである。すげえなファムえらいぞアヒル野郎。ならラスト一つはパーっとハデに分捕りましょうかいってんで、連邦の政治的粛清に伴う徴発艦船を狙うファムさんであるが、それは罠の大きな顎であり…というね。


逃げ場のない隘路での大威力敵襲、敵艦隊の編成を見て逃げ道を模索するもそこも読まれ済み、万事休すかと思われたが鳥たちの挙動から僅かな希望を見出してそれに賭ける…という、一連の流れはなかなかよく練られてんな、って感じ。ただこういう「刻々と変わる戦術と作戦の絡み合い」というのをアニメで面白くやるのは結構な手間とパワーがかかるのであり、今回もあとちょっと演出に鋭さが足りなかったかな、と無茶感想にも程がある贅沢なことを思う。CGでのトリさん巨大群は省力化と画面の密度の天秤でベターな選択なんだろうけど、「トリのおかげで前が見えない!」とかのシーンは、本来ならゴッツい作画での大ハッタリでシーケンスのへそを作っておきたかったところだろうな。今回はそんな、一連の流れの中でのここぞというキメの絵がちょっと弱くて、全体的にだらっとしちゃったかなと…うーん、やっぱ贅沢ですねこれは。まいいや。


目にも判りやすいそんなバトルの一方で、各所には今後ぐらぐらと動いていきそうな関係の火種がある。どうも言わず抑えているものがあるっぽい折笠ヴァサント将軍は、のちのち反旗を翻したりするのだろうか。そしてこちらは状況としてではなく性格として「言い出せないこと」が多そうなジゼさんは、爆発しちゃう前にちゃんとファムに相対してお話することはできるのだろうか。…あとあの姫様は姫様のくせにやけにきな臭い演説やりよんな、やっぱお飾りの傀儡元首ってのはこんなもんか…と思わせて、その裏で大泣きするシーンを持ってくるのはいいバランス感覚やなと。名君暗君以前に、素直な聡明さと年相応の感受性のある「一人の子供」なんだという面がよく出ていた。