Fate/イカ娘/ガンダムAGE/ラストエグザイル

Fate/Zero・11話。ライダーとセイバーとの邂逅/激戦を予想させるアバンを置き、ははあこれはといざ開始してみれば全編みんなで酒呑んでるだけのお話である。多分この回、台詞等で調整つければ無きゃ無いで成立しちゃうと思う、のだが…これがかなり面白い。キャラクタドリヴンな要素をキッチリと盛り込んできた積み重ねによるものではあろうなあ。わざわざ敵地に乗り込んできて「酒呑もうぜ」っちうライダーさんは毎度ながらの大物ぶりでよろしいし、性狷介にして傲慢であり普通の会話になるかどうか怪しいアーチャーさんも「ワシがホンマモンの酒を見せたるわい」とノリノリだったりね。途中の経過やシメ方はともかく、この導入部分はなんだかファンディスクのような雰囲気で楽しいな。


本編はセイバーとライダーの帝王論である。張り詰めて余裕の無いセイバーさんの帝王論は、ライダーさんのそれにあっさりと否定論破されてしまう。王たるものあらゆる欲望もて人民を導くべし。さてセイバー、お前さんは民草を救いはしたが、導くことをしたのか否か? …ここでセイバーさんは主人公的な「挫折」を経験する。実際二人の論の食い違いはどっちが正しいというものではなく、どちらかといえば論自体よりその話者の器の違いだったと言えようか。ムチャとも言えるライダーの王論だが、これまでの彼の磊落すぎる楽しげな振る舞いのおかげでちゃんと補完されている、のが上手い。


今回はほぼ傍観者であったギル兄さんであるが、彼の立場はそのうち明確にされるのだろうな。些細なことだけど、聖杯が自分のものである根拠を問われて「法だ」とのたまうのはなるほど、であるね。流石世界最初の法典を作り上げたところの国家出身ではある。


侵略!?イカ娘・9話。Aパートはイカちゃんのドロドロおままごとの巻。確か清美さんは原作では出てこなかったと思うけど、うまいことふくらませて違和感無く盛り込んでたなあ。優しくてエエ人だけど妙に胆の据わってるところがある、というキャラ造形は上手いと思う。てかこの作品にしては全体的にキワドい台詞多かったよな。いかにテンプレとはいえ、栄子さんも「お風呂にするご飯にするそれとも」とか言うんじゃありません。生々しいやないか。


昼ドラ好きのおままごとお嬢さんに須藤奈々子。明らかに子役声なのにすんげえ「ロールプレイ演技」がこなれててビビッたが、…ははあ、うさぎドロップのレイナちゃんの人か。このままどんどんこまっしゃくれて欲しいと思います。あとこのパートは特にガチなアクション作画が多くて、テンポよくチャカチャカ動きまくる画面見てるだけでも楽しかったっすよ。


Bパートはスケジュール帳とバッグのイカちゃん利用話。似たような構造の話をまとめてお届けっちう風情だが、あんまりガッチリとからんでない二つのネタの流れが妙にシュールで悪くない。イカちゃんの小学生的なイノセンスが新しい概念と出会って展開してゆく、っちうこの手のエピソードはホッコリしてよろしいな。バッグからエスパー伊藤的に首だけ出してるイカちゃんがかわいらしかった。


Cパートはぶっつぶれ寸前遊園地の話。情けねェギャグで進めつつ何となくエエ話でシメといて最後の最後で台無しのオチがつく、という割とキッチリした構造の話だった。日がくれてからの花火のシーン、ちゃんとショボいSEなのが味わい深い。あれで普通の「ドーン」っちうSEではいろいろと違うものね。


起動戦士ガンダムAGE・10話。敵拠点への殴りこみ第一歩と新装備ガンダムスパローお披露目の回。ついでに主人公たちの協力者としてヤクザさんたちの不正規軍が仲間入りである。本編で役に立つとか流石ケンカ慣れしているとか言われてたが、画面見る限りではあんましそんな感じが無かったのが辛いところ。まずはもちょっとエエ武装をあてがってやるのが最初だろうなあ。


今回のクライマックスはボヤージ親分の無駄な特攻シーン。実際ホンマに無駄死にであると劇中でも表現されており、シビアっちゃシビアな流れだけど…なんかもうちょっと大勢に影響するように話のシカケ作ったってもエエのになーとは思った。「彼の死で精神的に成長してやる!」っちう要素もイマイチ薄かったし。…安易な特攻で盛り上げること自体はワシは割と構いません。そういうもんだとして見れば、ベタなお涙頂戴は大衆お芝居的で嫌いじゃない。ヤクーザモノには空気感も合ってるしね。


スパローガンダムはその軽快さがちゃんと出ててよろしい感じ。顔見世のシーンは伝統の勇者的見得切りポーズにしててケレン味満点である。勇者的…そうね、鈴木兄弟的というか、あんなん。それにしてもウルフさん、換装シーンでちゃんと囮になってくれたり何だりとホンマに便利なキャラだなあ。このままじゃラーガンさんがウルフさんの単なる下位互換になっちまいそうで怖い。いくらキライじゃないとはいえ、また特攻シーンでキャラ立てとか、それは流石にヤですよ?


ラストエグザイル-銀翼のファム-・9話。ガハハ気味な相方に愛想尽かしかけちゃったジゼさんのお話。内に溜め込んでしまいがちなジゼさんは、こんな重要な状況でただ突っ走ってゆく…ミリア姫のために無私に働くファムさんの心が判らない。いや、正しくはそんなことを感じてしまう自分の心が判らないのである。そしてファムさんはそんな繊細な状況にどうしていいか判らない。このままでは空中分解してしまいそうなお二人であるが、ここに「同レヴェルで悩む」ミリア姫を置くことで状況が快方へと転がり始める…というね。


二人の女性に好意を向けられて特別扱いされるファムさんはマジでヒロインみたいだな! とか思った次の瞬間「そういやファムさんも女性だっけ、ならヒロインでも別にオカシナイやん」と気付いたりした。いやヒロイン違うけどね。ファムさんが野郎だったらまた別の…男女的な要素が乗っかってくるだろうし、彼らの関係の純粋性を強調する上で同性であることは必要なネタだと思ったよ。まそれは余談。


いろいろなモヤモヤを晴らすため、最後はみんなでホッケー大会である。このシーンはあと少し惜しいなと思った。こじらせちゃった人間関係にエイヤでケリをつける、お話のクライマックスとしてスポーツネタはアリアリなんだけど、やはりその…予算とスケジュールが限られているアニメ媒体では隔靴掻痒感は否めない。思ったほどスカッとしないのである。ドラマや映画なら役者のフィジカルな動き/演技でカタルシスを出すことも上手いことやりやすいんだけどねえ。贅沢な文句であるとは思うけどさ。…あと最後に出てきたヴィンセントさん、これは前作の登場人物か? …そうみたいだな。