ラストエグザイル/夏目友人帳/あの夏で待ってる

ラストエグザイル-銀翼のファム-・20話。サドリ元帥の停戦受諾により世界は一旦の和睦となる。だがディーオの言葉によれば「一触即発」の平和であり、お互いになにも解決していない状態でちょっと歩みを止めている状態に過ぎない。…アウグスタ拝謁シーンにて、ルスキニアさんの歩行で剣や装具がカチカチ鳴るSEをわざわざ入れてる辺りでその不穏さがよう判る。案の定、各陣営にはさまざまな思惑が渦巻き、それはリリアーナ王女殿下の暗殺という形で発露する。そしてミリアは世界の「鍵」の伝承を受ける…。


てことで、ルスキニアさんのやってんのはやはり人類の間引きってことで合ってましたかね。この世界では今後の人類を支えることはできず、百年を待たずに総崩れとなってしまう。…だから今の人間を殺して間引くヨ、って辺りがちょいとエキセントリックではあるんだよな。技術革新によるインフラの発展やそれこそ「エグザイル」の研究ではなく、他国を葬り去ることで解決しようとする。要するにそれは世界のためではなく、自分(たち)が生き残るための手段なのだ。先ずは隗より始めよと言うとおり、ホンマに覚悟決まってんならテメエの国をふっ飛ばせよな! とか、他国は思うだろうしねえ。ま、真意が全て明らかになったとも限らないのですが。


あとリリアーナ様が討たれた時に「またか!」ちうて悲嘆にくれてましたが、その正当性はともかく、テメエの行為が客観的に見て大量の敵を作ってる認識くらいはあったでしょうに。対策も覚悟も無かったのはちょいと胡乱に過ぎるぞ。


とまれ、これで巨大すぎる重荷はミリア様にのしかかってしまった。何でも出来て優秀なリリアーナ様に対し、ある意味で揺らぎの多い彼女は一体どのような答えをだすのだろうか。あー、ファムさんもちゃんと支えてあげんならんよな。あるいは未だ謎のあるファムの出自がデウス・エクス・マキナとなるのだろうか。


夏目友人帳 肆・10話。承前、お祭りの中で神さんに祭り上げられちゃった夏目さんの苦労の話。やはりホオヅキ様は単に封印されていただけでなく、その力そのものも弱まっていたようで。神は人によって「祭り」上げられていないとその存在を保持できない。流石のニャンコ先生でも神を相手にするのを嫌がっていたくらいに神という存在は大きなものであるが、それでも人との関わりなしには語れないのである。ラスト、光となって空を行くホオヅキとフヅキの両柱の絵、「去って行く」という言い方をしているがこれは…まあ、消えていったと解釈しておかしくもなかろうなあ。


夏目さんサイドでは今回も彼の立ち位置に関するテーマが繰り返される。要らんことに首を突っ込みすぎる、だからいつも面倒な目に遭うのだと先生には文句垂れられる夏目さんであるが、そんなキャラだからこそ友人やら名取さんやら、あるいは他ならぬ先生やらとの関わりが生じている。「一人では何も出来なかった、皆がいたから出来た」という夏目さんの言葉が今回の肝ではあろう。それでもちょっと呼び寄せ体質過ぎるなーとは思いますけどね、まあ。


弱まりゆく豊穣の神・ホオヅキに緑川光。最後にちょっとだけ出てきて場を支えるというゲストキャラ扱いに充分な貫目を持つお人になったのだなあ、と少々感慨深い。フヅキさんの東地宏樹との対比が面白いな。


あの夏で待ってる・9話。イチカ先輩が宇宙人であったという衝撃の事実が明かされ…しかしそれは、割とそのまんま受け止められるのである。うん、意外とそんなもんかもしれないなと思うし、これはこれでセンスオブワンダーではあるなとも思う。面白いことに見てるワシの方でも既に、事実の重みは宇宙人問題<人間関係問題、っちう不等式になってしまっている。普通逆やよね。いいけど。

てことで、イチカ先輩がカイトさんとお付き合いする上での大きなの一つ障壁が無くなってしまった。それでも何だかんだと一歩進むことを躊躇っている両者に、レモンさんとカンナちゃんが後押しを図るのですが…ね。もとより自発的にこの恋愛レースを降りたような形のカンナさんであるが、それは当然ながら本心で望んでいたわけでもない。心の弱さと言わば言え、逃げた末の結果と言わば言え。…早朝の空気の中、必死のパッチイチカ先輩を焚きつけ煽り立てるカンナちゃんの姿ったらもう、ねえ。この辺、声優演技も相俟ってまことに印象的なシーンとなっていた。ちうか哲朗とミオさんが入れ子式にストーキングしてんのがその、シリアスなシーンなのに何かおかしくて参った。人はみな心弱いものよねえ。

そしてイチカとカイトのらぶらぶちゅっちゅの甘ったるいことこの上ないシーンでシメである。あの一種残酷なシーケンスの直後にこれを置くという、うんまあこうかはばつぐんである。何の効果だかよう判らんけど。…がははは、どうすんだろねこれから。とまれ、いかに画面上/脚本上での登場割合が多かろうと、こうなってしまうとここまでは「カンナさんの物語」になっちゃうよな。あとミオさんとか、あとで絶対超肉食的に哲朗に迫ってきそうな気がするんですけども。