ピングドラム

輪るピングドラム・18話。「裡より喰い尽くされたモンスター」であるタブキさんのお話。彼がかつて絶望の縁にあったとき、その一切合財を救ってくれた一人の女性・モモカさん。その存在はすでに…なにやら菩薩じみた無償のメシアとして彼の中に未だ記憶されている。ならばそのモモカさんをこの世から消し去った高倉一家を赦すことはできない。世界の意思に沿わぬ者には罰を与えねばならない。罰を。…その関係性はタブキさんの母よりの受難と相同であり、そしてその罰として支払われるはいずれも「手」である。


土壇場でその計画を止めるタブキさん。ただ妹のためにそれだけのために身を焦がし果てさせるカンバさんの姿に、自分がなしえなかった要素を見たから、だとは思うけど…うーむ、それはずいぶんと高すぎる要請ではあるなあ。あそこまでヤらな赦さへん、っちうこっちゃもんね。それにしてもカンバさんはもう、妹のためなら自分も要らぬという勢いの自己犠牲の塊。確かにこれは賢治的ではある。こうなると(今のところ)全ての元凶である高倉両親の事情が問題となる。今までのお話における軋み歪み、それらを全て内包するほどの「業」のような、抗いがたい運命。ふうむ、幾原のおっさんは何を考えているのか?


芸術的であることしか評価スケールを持たない、ペラッペラの厚みしか持たないタブキさんの母に久川綾。ほぼユリさんとこのお父んと同じ精神構造を持ってるってことは、タブキさんとユリさんは出会うべくして出会ったっちうことですかねえ。にしても久川綾だ。毎度ながら主要キャラの父母にはゴッツいところをキャスティングしてくるなあ。…ぜんっぜん似てないはずなのに一瞬だけ川上とも子のように聞こえてしまったのは、単にワシのダメ絶対音感が通常の意味でダメだっただけの話だけど、何かその、妙にハナの奥がツンときちゃったりしてね。うん。