たまゆら/ペルソナ/ピングドラム

たまゆら〜hitotose〜・10話。先行作では既出のようだがこの地上波版ではハッキリとは出てきていなかった、かおるさんのポプリ趣味とその迷いの巻。将来への漠然とした不安と友人たちへのモヤモヤとした感情によって一時的にギクシャクしちゃうかおるさん、という重そうな導入だが、しかしその障害を乗り越えたら中盤以降カラリと転換し、仲間たちによる自己表現イヴェントへと繋がってゆく…というね。


いつもと同じようでちょっと違うかおたんの態度を感じ、真っ先に/真正面からツッコんでゆくのりえさん。こういうとき残りの二人ではどうも後手後手に回りがちなので、のりえさんのキャラ造形はうってつけである。それにしてもこの、かおるさんの「モヤモヤ」の表現がよろしい。判りやすい台詞や態度を提示せず、しかしのりえさんの「何かヘンだ」という指摘にはこっちも「うん、そんな気が」とは思う、そんな程度の微妙な違和感の描き方。加えてかおるさんがあのサバサバした性格だからねえ。…そんな性格だからこそ、却ってこういうときにこじれちゃったりするのかもしれないけれど。


曲折を経ての「私たち展」の企画。この段階では取り立ててかおるさんの将来像に関わりがなさそうな、ちょいと模糊とした様相なのが面白い。こんな風に「とりあえず自分にできること」でスパンと割り切って進むことができるのがかおるさんの資質なのだろうな。どう展開するのかちょっと読みにくいって意味でも、次回へのヒキとして興味深いと思う。…あと劇中でも言われてたけど、のりえさんはモノ喰ってるときにゲロの話をしないほうが好感度保てると思います。


ペルソナ4・10話。りせちーさん受難の巻の後編、と見せかけて実はクマさん真実への道のお話。いや基本的にはりせさんのお話なんだけど、何故かここでクマ側の要素がガッツリ入ってくるという状況である。あんまし接点もないような気がするが、まあ確かに「自分には中身が無いと思っている者」っちうつながりは存在するか。それにしても、確かにクマさんは謎のままではあるよなあ。この手のアニメ(ゲーム)でこの辺を放り出して終わらせるってのは考えにくいのでそのうち解題もあるとは思うが、無きゃ無くてもそれで構わんなーとか思っているワシではある。


まずはりせさんについて。毎度の「自分の中のもう一人の自分」という主題ですが、いきなしコスプレにストリップというまあ…「何を抑圧していらっしゃるので?」と思うような分身ではある。要するに彼女の願いは「自分を見てほしい」ってこと。常にさまざまなキャラを演じてきた彼女にとって、他者に見られるという現象はペルソナ(←心理学的な意味のね)の表面でストップしている。だからこそ全部脱いで見せ付けたい。その中身がどんな自分か判らないが知ったことか。見て見て私を見て! だ。そういう意味において、真っ直ぐに自分のほうを見てくれるナルカミさんに救われたりもしたのだろうね。…「見てほしい人」が得たのが「他者を見るペルソナ」ってのは確かに、平仄は合っている。


そのあとに控えしクマさんであるが、何より異形状態の別人格が怖ェよ! 特に目! クマ本人の目があんなにマンガチックなデザインなのは、この対比を見せるための企みであったか。クマペルソナはまだその能力が明らかでないけど、なんかおもろいモノがありそうでちょっと期待してみよう。えーさて…結構大所帯になってきたが仲間はまだ出てくるのだろうか。そろそろ「仲間入りイヴェント」から一歩進んだドラマも見てみたい気がするのだが。ふむ。


輪るピングドラム・22話。カンバさんを止めようとするひまりさん、ナツメさん、その他諸々。その中にあって未だ動きを見せないショウマさんであるが…そろそろ踏ん切りつけないと取り返しつかなくなるぞ。あるいは彼が動くことがまた別の「取り返しつかないこと」へのキッカケなのだろうか。とか何とか言うてるうちにアッチコッチでえらいことになってんですが…ひまりさんは消えかけてるし、カンバさんは瀕死だし、サネトシさんは笑ってるし、ああもう。んでもって前回ユリ/タブキさんを襲った謎のトレンチはタチ役のパクロミさんでした。…そこだけ物語のシリアスレベルちょっと下がってるよ!


さて。ひまりさんを救うために自分だけではなく周囲のものをも巻き込んで突き進むカンバさんである。ことここに及び、カンバさんの信念とひまりさんの希望はすれ違いの位置にある。…カンバさんを止めるために自分の命を捧げんとするひまりさんであるが…ああ、そうなっちゃうとますますカンバさんは暴走するぞ。ヤバないかい?


そしてもう一人の妹、ナツメさんについて。追うナツメさんに顧慮せぬカンバさんという構図にあって、しかしフェイタルな瞬間では自らの身を挺してナツメさんをかばってどうと倒れるカンバさん。やはり彼はは自己犠牲の人であり、その性質が却って周囲をかき回してもいるのだけれど。ラスト、全てを投げ出しただカンバさんを救うデコイとなって絶望の光の前にすっくと立つナツメさんが美しい。その美は彼女の言う「棺」の美ではない、と言ってよいのだろう。劇的なBGMの効果もあり、このシーンは本当にドラマチックな仕上がりになってたなあ。思わず巻戻して二度見してしまったよ。「嫌だわ、早くすり潰さないと」のキメ台詞の悲劇的にカッチョ良いこと。ああ、本当に悲劇となっては欲しくないものだが、さて。