未来日記/UN-GO/ギルティクラウン

未来日記・2話。何とか折り合いつけて由乃さんと同盟を結んだものの、何十通ものストーキングメール攻勢に大分ゲンナリ気味のユッキー。参ったなあと言うヒマもなく、早速未来日記者の来襲である。このお嬢さんがまた、日記能力云々全く関係なく、単純にヤバくて凶悪な爆弾魔でしてね。


白昼の学校にてとばっちり死亡なんか全く気にせずボコボコと爆発攻撃を仕掛けてゆく、危険人物・みねねさん。表情や思想が何となくブラクラのレヴィさんを思い出しますが、何を職業としてる人なんでしょうね。とまれ、彼女の爆弾攻撃になんとか未来日記能力で対抗しようとするも、「詳細なのは良いが自分のことが書いてない」という自分の未来日記の決定的欠陥に愕然とするユキテルさん。しかしそこはストーカーの面目躍如、由乃さんの日記は何と「ユッキーのことしか書いてない」という代物。となれば二つ合わせて完璧。よおしそんじゃ反撃じゃい…と簡単にはいかなくて…。


うーむ、なかなか凝ったシカケの作品。多分これ原作では何話か分をまとめてあるんだろうけど、二転三転する話の流れがダイナミックだ。1話と同じように消滅退場するかと見せかけ、眼球一つを代償として逃げ延びるみねねさんとか、着合い入った頭おかしさでよろしいな。…ラストで刑事の人が更なる仲間となったけど、またこの人がひとふたクセありそうで…どこまで信頼してよろしいやら。


オマケのCパートは恒例のようですね。結構作品の理解に助かる情報もあるし、これ原作の段階から存在する要素なのかしら。バカチンノリは好きなのでぜひそのままで。あと第1話ん時も思ったけど、ユッキー役の富樫美鈴さん、特にヘタレ声になるとすごく緒方恵美さんっぽい、シンちゃんっぽいっすね。良い泣き言演技だと思う。


●新番組・UN-GO坂口安吾の小説を翻案したものとのことだが、はたしてどこまでが「原案」の影響下にあるものなのかは判らない。未読者だしまあその辺はテキトーに。てことでええと…なるほど、「敗戦」を経て復興中である未来の日本のお話か。原作小説ではWWII後なのかしらね。このごった煮の舞台に登場するはまず名家のご令嬢、その父たる安楽椅子(ネット)探偵、そして本命の「敗戦探偵」たる主人公の人、とおもくそ怪しげな助手である。


古臭い仮装パーティにて発生した殺人事件について、まず上記の安楽椅子探偵が「対外的な」解決を与え、その後に敗戦探偵がその裏の真実を提示する、っちう二段構えの構成。あまり凝った推理モノというワケではないのはともかく、最大のキーとなる要素が「変身した助手の超能力で対象に何でも自白させることができる」ってのがなんか、スゲエ。


…思惑としては「助手が能力で意外な事実を聞きだす→探偵がそれについて解題する」っちう流れで見せたいんだろうが、見てる十人が十人「なら最初に「お前が犯人か」と訊けよ」とは思うわな。しかしま、実のところそれほど気になったというワケではない。そういうモンですよと割り切ればあとはヘンテコな論理の迷路を楽しむだけだ。こういう状況でわざわざ回りくどく衒学的にヤる、ってのも美学ではあろうしね。


監督は水島精二、脚本會川昇というちょいと重ためなスタッフ、高河ゆんの線の細いキャラ、ボンズの高い作画能力、という布陣はこの作品世界によく合ってるような気がする。キャストではやっぱし助手役の豊崎愛生さんですよね。最近は今までのタイプキャスティングを外した役柄を積極的にやってて興味深い。ショタとえろ姐さんのニ役、なんてやりがいありそうだしなあ。うん、ちょっと継続してみよう。


●新番組・ギルティクラウン。IGによる少年主人公のSFロボメカアニメ…という、およそノイタミナ枠としては「らしくない」セッティングの作品なので気になっていた。それでも何か既存の類似ジャンル作品とは一線を画す何らかの特色でもあるかしら、と思ったのだけれど…、他者と馴染めない虚無的な主人公青年が武装組織に終われる神秘的な雰囲気の歌姫にキーアイテムを託されてひょんなことから「力」に目覚める、という…うん、これ、そのまんまだわ。清々しいほどそのまんまだわ。ふむう。


画面の密度や細かい設定を見るだに、かなりリソース使いつつ気合の入った作品だというのはよく判る。何か大きな事故によって日本が汚染された結果大国の介入を許した状態、というちょっとした現実世界的なテイストも入れつつ、第1話で主人公覚醒までの流れをチャッチャと入れ込みソツが無い。うん、作品のクォリティ自体はすごく高いんではなかろうか…ま、このノリが続くならばだが。


ただまあ、ソツがなさ過ぎてトッカカリに乏しいんだよな。上で「そのまんま」と言ったがその通り、今のところはまんまテンプレの集合体だなあ、どの要素も既視感がアリアリだなあという感想が先に立つ。あとワシ、あの反政府組織リーダみたいな物言い好きじゃないんですよね。冷徹な行動家みたいな風情出しといて、「見捨てたのか」「今度は守ってみろ」などと押し付けがましく甘っちょろいことも言う。組織束ねる人間ならどっちかに割り切れよ! とまあ、これはワシの勝手な印象であり不当な弾劾であるのでごめんなさい。


シリーズ構成に吉野弘幸、サポートに久しぶりの大河内一楼が入っている。これまたワシの好き嫌いの問題だが、吉野さんの脚本苦手なのよね。「ほうほう、それで何やねん!」って印象が多くてさ。てことで、うーん…どうしよう。様子見。