未来日記/夏目友人帳/あの夏

未来日記・22話。世界が壊れつつあったり神さんも崩れつつあったり、何かもう賞品かけて死の頭脳ゲーム! っちう雰囲気からはかなり外れてきた状況である。それはユッキーの個人的世界にとっても同様であり、彼の歩む道はもうドロドロ、もう引き返せないくらいの殺伐さを帯びている。…最後の意志をユッキーに伝えようとしたアキセさんが首なし状態、っちうのがまた露悪的な作劇ですわなあ。


覚悟や諦観も無く、半ば錯乱しつつ友人を殺してゆくユッキーの姿はいかにも弱々しい。死んだ人間も壊れた町も元に戻せないと言われても、ぼくはもう進むしかないじゃないか…っちうね。こうなってしまうとホンマ、マジでちゃぶ台ひっくり返すしか手はないんじゃないかと思うのだが、さてどういう着地点を設定しているのやら。このまんまグダグダに終わってもそれはそれでアリやとは思いますけどね。


アキセさんが伝えたかったその情報、ユノさんの謎についてはどうしたものか。双方共に同じDNAを持つとなれば普通は双子とかでしょうけど、そんな単純なネタをここまで引っ張るとは思いにくいしねえ。神様だの何のが出てくる世界観だし、もう何でもアリっちゃアリではあるのだが。あとアキセさん、ガチホモやったのはともかくとして、ユッキーが「裏切ったな! ぼくを裏切ったな!」とかそういう話になってくるとますますカヲルくんとシンジくんの絵面だなあ。


夏目友人帳 肆・12話。実家への旅、それは丁寧に蓋をした記憶の箱を開ける旅でもある。家の鍵を取りに以前世話になった家庭に赴き、そこでまたもや古くほろ苦い記憶が蘇る…。この辺でワシ筒井康隆の短編「鍵」を思い出したのだが、誠に当然ながらあそこまで湿気の高い根源的恐怖は訪れません。訪れたら怖いわ! まそれはともかく。


今までも何度か、どこかボカした形で夏目さんの流れ歩き遍歴は表現されてきたけれど、「現在の彼が再訪する」というハッキリした形で描写されるのは珍しいかもしれない。そして件のご両親は普通の常識人であり、夏目さんに反発していた娘さんにしても子供らしい不寛容さが出ていた過ぎない。案外、今の夏目さんの立場と目から見るならば、今までの遍歴の一部はそんなに悲観すべき時代ではなかったのかもしれない。…ま、そういう俯瞰が可能なほどの余裕ができたのは、今の藤原夫妻との生活のおかげではありましょうけれども。


にしてもこのお家の話で結構な尺を取るなあ、と思ってたらなんか続いたぞ。上中下の三話構成とは思わなかった。えーと、これ次回が最終回か? なるほど、それで余裕を持って過去を語るか…。とりあえず次週待ち。


あの夏で待ってる・11話。宇宙より来るお姉さん・エミカさんは「のんきに構えてんじゃねェぞエライことになってんだぞ」と言う。この星と仲間を救うにはイチカ先輩が母星に帰ることしかない。ちぇーっじゃしょうがない、帰りますかバイバイね…ってなワケにいくかぼけェ! っちうお話。「親戚中大騒ぎ」とか「有給とってきた」とか、いちいちご近所SF的な庶民台詞が出てきてなんか可笑しい。


うん、人間関係側のネタがあらかた整理されちゃったとなればやっぱ、「アニメ作品を終わらせるため」の物語的構造が働かざるを得ないわよね。絶体絶命別離の危機、そこに僅かな光明ありき、ではみんなそこに向かって一致団結…。果たしてそれは上手くいくのか、ほろ苦く失敗するのか、それとも。


いろいろ乗り越えてきて「このままでいいのか」と訊かれ、「…いいワケ無いでしょ!」と叫ぶカンナちゃんが切なかわいい。諸々の欠点や不幸属性も含め、やっぱしこの子はある意味一番のヒロインであり、儲け役である。この子なかりせばこのアニメ、シナリオ自体成立しなかったであろう…ってまあ当たり前っすけどね。とまれ、成人してからヘンな男に引っかかったりして不幸になりませんように。何だその祈念。あとレモンさん、それらの便利道具って絶対、エミカ姉さん由来じゃないのが混じってますよね。マジMIBっすか。