けいおん

けいおん!!・最終話。番外編その2、さわちゃん先生んちへお邪魔するの巻。…スパッと粋にシメず、こんな感じでゆるゆるっとした後味を出して終わるってのはなんだかけいおんらしいなと思う。とか言うてたら映画化ですか。ははあ。予告編はどうも「3年間の軌跡」っぽい感じだが、さてどうなることやら。


アバンをあずささん来訪時の記念写真ではじめ、おしまいんとこにも同じく写真ネタを置いてシメる、というちょっと不思議な構成。とか思ってたらどうやらDVDジャケット等のネタを盛り込んでいるらしい。ワシは見てないので判らなかったですが、番外編としてはなかなか正しいサーヴィスのような気がする。あるいは「ジャケ絵でつづるけいおん部」という視点で語った、ちうてもよいか。


お話としてはいつも通り、他愛ないみなさんのワチャワチャという内容であり楽しいのだが、その中にも「作品群のエピローグ」として置くに相応しい感慨もあったですかね。…あずにゃんは寂しくなく過ごせるとよろしいね。そこはさわちゃん先生が(エエ加減に)フォローしてくれるとは思いますし、ユイさんたちもヘタすると鳥坂センパイバリに卒業後もやってきそうな面々ではあるのですが。


●総評。基本的には前シーズンのと同じですわな。非常に丁寧に緻密に、ぢょしこうせいのぽんやりした軽音部活を描くアニメ。緻密さってのは京アニブランドの一つの美点だとは思うんだけど、それはややもすると素材の「軽さ」を損なってしまう恐れもあるんですよ。少なくともワシの場合、ハルヒらきすた辺りでは画面の頑張り加減が時々鬱陶しかったり、したのだ。


などとまあ、作品の方にキズがあるような言い方しましたけど、ちょっと前にらきすたを見直したら何かフツーに肩の力抜いて見ることができたのよね。だから単純にワシの方が見方を会得した、ってだけのことなのかもしれない。それかあらぬか、この「けいおん」っちう作品は最初から「わー楽しそーやなーコイツらげへへへ」と別段引っ掛かりも無く見ることができたのである。


…それはこの作品がらきすた等に比べて緻密さが少ないってことではなく、それどころか画面の重さや暗さは要所々々で頻出しているようにも感じられる。多分、アニメ作品に落とし込むにあたって、そういう質感をちゃんと支えること「も」できるようなキャラ/世界に再構築したのだろう。いやワシ原作見てないからホンマのところは判んないけど、そんな気がする。もし違ったら存分に蔑むがよい。ほれほれ。


個人的にはこういうジャンルのアニメにおける「重さ」はあまり好みではないのだけれど、それでも前シーズンから結構上手いこと、そういった重さのある演出を使ってた印象がある。キモとなる場所で効率的に、ね。今シーズンは「別れと卒業」っちうお湿りネタもあるし、また第一シーズンと比べての大きな差の一つであるあずささんを巡る要素もある。メインキャラ四人から外れて一人だけの後輩というアンバランスな立ち位置であり、やっぱ最後まで「なんかかわいそうだなあ」という感情を拭い去れなかったけれど、しかし彼女の視点は物語に新たな方向への陰影を与えていたのも確か。彼女の存在なかりせば今作は、いかに卒業イヴェント等があったとしても、第一シーズンの焼き直しアニメで終わった可能性もあったりして(実は必ずしも再生産が悪いワケでもないんだけど、それはそれ)。


そしてその陰影がメインではなく、あくまで今作品の一要素であったってのも重要よね。シリアスさを焦点として構築されるような作品ではないですし。みなで過ごしてきた諸々の日々をぱたぱたと積み上げてった、高校生活の手触り。このシリーズの持つ軽さ、努力など要素の薄さ、はそういうお話を作るために最適化された演出だったのだろうな。


頭からケツまで充分楽しうございました。ことワシのようなおっさん年代になると、さらにノスタルジィなんてな要素もくっついてくるからねえ。余計にねえ。てことで、お疲れ様でした。