オカルト学院/ジャイキリ

●ちょっと日程が立て込んでんので、見られた分だけ。残りは後日回し。ふう。


世紀末オカルト学院・最終話。魔女の美風さんを排したにも関らず、未来の状況は変化していない。実はノストラダムスの鍵は文明自身…正確には「文明が過去の自分と会うこと」がトリガーであった。なら会わんかったらエエやんかいサ、ってことでワヤワヤやってたらお約束どおり会っちゃって、1999年7の月ウンモ星人とトライポッドが降りてきてしまってさあ大変…というね。


自分自身と相対した文明のシーン。見るからに最悪の状況なのだけれど、まず自分の力と意志で行動した子供文明を誉め、その上で自らの存在と引き換えに世界を救ってしまう…という流れはかなりアツいし、何より「上手いな」と思った。「世界の危機に立ち向かう」ということと「過去の自分にエールを送る」ってことが不可分になっており、ものすごく自然にワケの判らんクライマックスに流れ込ませるヤリクチがよろしい。…スプーン一つで巨大な敵に向かってくってのは、ひょっとして実相寺ウルトラマンへのオマージュかしらん。


最後は実に平和な、ひょっとして全ては矢島正明パパンの白昼夢だったのではないか、とさえ感じられるほどのアッサリした風景にてシメ。波乱万丈から一転しての日常で終わるってのは何となく、一連の「劇場版ドラえもん」の雰囲気を思い出したりしてね。


しかしこーなると美風さんが謎を残したカタチだなあ。ほのかに感じられた母親との類似性とか、この地に対する思い入れの深さとか、そういうのは単なる偶然でただのフレーバーだったのだろうか。ま、いろいろ邪推しても面白いかもしれないけどね。いやマジで、この回はじまってしばらくは「母親がラスボスか? 美風さんの本体か?」とか思ってましたよ。


●総評。典型的オカルトガジェットを構築材料に、コメディとマジの間をふらふらと逍遥する人を喰ったシナリオで見せる…という、割とヒネクレたアニメ。初っ端からそのヒネ具合とリッチな画面作りがかなり印象的で、「オカルト」というキワモノ題材を自覚的に扱ってる感じも相俟って「ちょっと他で見られない」という独自の楽しさのある作品だったなあ。


主役のマヤさんが実にエエキャラしてて、パッと見ィではクールでツン気味なんだけど、実際は行動派で暴走しがちでドジ気質でお人よし。そしてあの、ヘン顔芸に近いほどの豊かな感情表出はホンマに魅力的だ。脇キャラもなかなか良いのだが、中でもコズエさんは花澤キャラとして割と新境地だったのではないか。天然メガネのすっとこどっこいコメディエンヌ、てなこのキャラがイケるなら大概おいしいぞ。


中盤辺りでダレ場っぽいとこがあったのはちょっと残念。「この辺で一息つかせよう」という意図的なダレ場というより、単純に息切れ気味な感じだったしねえ。※ のキャラデザはカッチリしつつも肉感的/感情的でエエのだけれど、作画する方にある一定以上のパワーを要求しそうだからなー。そこら辺の供給が減ってくると多分、苦しい作業になってくるんだろう。


そこここに惜しいところはあったものの、基本的には楽しくおもろくサーヴィス精神旺盛な作品だったと思う。いや全く、急にこういう作品が出来てくるからおもろいんだよな。…これでこのアニメノチカラ枠が終わっちゃうってのも残念だが、最後にこの作品が来たってのはせめてもの慰めどころ…なのかどうかよう判らんが。ええまあ。


GIANT KILLING・2話。タツミ監督の挑発的なヤリクチはまんまと奏功してしまい、紅白戦においてルーキーたちの控えチームが勝利してしまう。…やってることは要するに「ヴェテランどもを疲れさせた若いモンが勝つ」ってことなんだけど、「意図の不明なダッシュ練習」とか「走れないから守るしかないチーム」とか、その辺の修飾と引張りが上手いわよね。ガキどもの言う「ハラハラするけどワクワクしない試合」ってのは、確かに端的に状況を述べた言葉ではあるわな。


一本気で実直な村越キャプテンと変化球でいーかげんそうに見えるタツミ監督、この対立がしばらくは軸になるってとこですかね。村越をキャプテンから下ろすという一見彼をないがしろにするような采配も、実のところは「責任を軽減してプレーに専念させる」という意図がありそうで。…しかしこの、村越ッさんの性格と立ち位置は、一昔前の少年マンガなら主役っぽいとこだよな。それを否定する…いや、否定じゃないがそのまんまじゃダメっすよ、てな流れになるのはいかにもモーニングマンガっぽい。


あー、以下余談。マンガやらアニメやら、エンタテイメントとしては当然の設定なんだけど、実際のところタツミさんのようなブラックボックス的指導者ってのはほぼ悪影響しかないだろうなあ。「実は裏にこんな理由がありました」ってのを物語のバラシとして機能させる上ではしょうがないんだけどね。現実世界なら「初っ端から言えよこの人身掌握能力無し男」ってなるよね。