伝説勇者/けいおん/みつどもえ/追加・ハガレン

●新番組・伝説の勇者の伝説。原作ラノベのファンタジィアニメ、ですか。ちょっとフザけたタイトルネーミングは割と好きなセンス。んで、過去魔王やら勇者やらが大暴れしてたらしき架空の世界、強大なパワーを有する勇者の遺物をトレジャーハンティングする主人公たちである。なかなかの主人公的戦闘力を持ってそうだがとにかくやる気のねェ福山さんと、気が強くて身も蓋もない性格の女剣士である高垣さんのコンビは、お国のエライさんから仰せつかってめんどくさい任務の道中であるが、っちうね。


専門用語と定番描写でガッチガチの世界観はヨシとしよう。主要キャラは全てイケメンっちう絵面もアリっちゃアリだ。しかし、何でこう異様に細切れで流れの悪い構成にしてんのかな。まるで「一見さんお断り」と大書してあるような雰囲気ですよ。話の流れに強い牽引力が見出せないとなると、上記の少々独自性に乏しい見た目の要素も上滑りに感じられてくるし…うーん、ワシのようなロートル野郎にはかなり厳しい第1話だったなあ。


加えて、個人的に少々好みじゃない演出とかも目に付いたりした。普通ならちょちょいとスルーする程度の要素だろうけど、大枠がいっぺん気になりだすと細かいアレもコレも、って感じになるんでしょうかねえ。例えば冒頭で一般兵士をザコ扱いして主役キャラを立たせるやり方や、あとだんごとかそういう安易な日本風アイテムを出してくるなど。このだんごも重要な意味とかあんだろうか。


んー、さて、どうしたものか。次回見るかどうか、不定


けいおん!!・13話。夏とあずにゃんの日々、である。寝不足のアズサさんはその日、何かにつけてうつらうつらと白昼夢を見てしまうので何やら困るのでした、という話。…全体的にどうも不安定で現実感の乏しい演出になってて、少々の不穏ささえ感じるような回だったな。いや、特にどの要素がヘン、っちうんじゃないんだけどね。


一発目の夢で言うと、姿を見せずギターの演奏音だけで存在を示しているユイさんとか、がばりと二つに割れるスイカの絵とか、そういう微妙な要素の集積が上手いこと夢っぽい。このシーケンスのラスト、夢が醒める寸前の、色収差で物の輪郭に色がついてる絵がちょっと面白かった。アニメであんまし見たことない演出だすよね。


そんな感じの地に足付かない雰囲気の中で、クラブでのふとした孤独感を思うアズサさん。んー、作品構造上、この子の境遇はやっぱ少々かわいそうだな。いかに仲間が居るとはいえ、クラブ内ではどうしても異端な扱いになっちゃうしねえ。夢の延長のような非現実的エフェクトで、先輩たちとはぐれてそのまんま帰らざるを得ないあずにゃんのシーンはかなり、言語化しにくい不安感があったっすわ。「私もうすぐ一人になっちゃうんだ」ですもんね。


…さて、これから後の季節展開に向けて、彼女はどのような状況を与えられるのか。うーん、ちと心配。


●新番組・みつどもえ。珍しく原作は既読、始めの2・3巻辺りは飛び飛びにしか読んでないので初見の話とかありそうで楽しみ。割とファンです。原作が結構暴投気味の勘違い系ギャグ漫画で、一見かわいらしいデザインながらその即物的にムチャな内容がどこまでアニメで表現できるか、っちうのが勘所だったんですが…うん、ようやったもんっすよ。これだけバカな演出にできれば十二分だ。


初っ端のAパートは紹介編ってことで少々テンポが微妙だったが、後半にちんちんスナイプ話とチクビいじりまくり話っちう手堅いネタを持ってきて全力でヤりつくす、という戦略が見事にハマっている。…しかし絵が動いて音声が乗るとホンマ、くっだらなさが無闇に増大するなあ! 「立った…チクビが立った!」じゃねェよ! 何で感動的な音楽なんだよ! 大好きだ。


Aパートはちょっとタルくはあったものの、ふたばさんの異様な戦闘能力を示すアクションシーンがムダに気合入っててよろしかったな。やられ生徒さんたちの表情が、原作初期のちょっと浦安っぽい雰囲気を醸し出してましたね。…えー、てことで、問題なく視聴継続。これからもずっと下品でありますように。


●見たので追加、鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST・最終話。エピローグである。各々のキャラの身の振り方とケジメのつけ方。何か大きな変転変化があるワケじゃないが、長いシリーズだとこんな感じの「余裕」を持たせることができてヨロシな。てことで、落ち着かない野郎どもはまだまだやることがあるんですよ、っちうシメでした。


エドとアル、あの大きな災厄が起こってからそれほど時間は経ってないのだが、明らかに成長しているのが判るのが面白い。成長期だもんね、おちびニーサンもね。…その表現として安易に身長を伸ばすんじゃなく、肩と腰周りを少々ガッチリさせて大人の体型に近づける、っちうセンスは落ち着いてて好きだ。ちゃんと作画を統制しないと難しいやりかたでしょうけどね。


●総評。こういう大河ドラマ型式の作品ってテンションとクォリティを保つのも大変だろうし、多数のキャラたちが相互にからみあいつつお話を展開させてゆく、その大きな物語の感覚も十分に感じられたことであった。作画面においては毎回のクォリティも然りながら、ピーク時の突出ぶりが尋常やないのね。この辺は流石にボンズってだけはあります。…大河ドラマと書いたけど、いやホンマ、最近ここまで腰を据えて大きなオリジナルストーリィを紡ぎだそうというアニメ作品ってあんまし無いからねえ。


んでまあ、序盤近辺特に顕著だったちょいと性急な駆け足展開はあるていどしゃァないかな、とは思う。個人的な好みからするともう少々余裕があった方が好みなんだけど、放送枠に対する原作量がそういうことになってたんだろうね。…あとこの圧縮気味展開もその理由の一因になるんだけど、全体的に少し陰影や重さが足んなかったような気はする。扱っている素材やストーリーの大きさからするともうちょっと重めな演出に振っといた方が味が出たんやなかろかな、と。まァ放送時間や視聴層を考えてそういう路線を採っただけだろうし、元より完全にワシの好みの問題なんですけどね。


それにしても、今更ながら妙に間の短い再アニメ化だなあ、とは思うよ。このサンライズ-ボンズ枠のシリーズが最近ちょっとヒット率悪かったので慌てて鉄板素材持ってきた、とかいう事情もあったんかなあ、とか下司に勘ぐったり。ワシ前回アニメ化した時のはちゃんと見てないので比較でどうこうは言えんが、パッチワークの如くに前回とかぶったり変更したりしてるキャスティングとかもね。当然見てるうちに慣れてはきたが、モヤモヤしたっちゃあ、しました。やっぱ大川透根谷美智子じゃダメやったん? …ま、そこら辺は上記の如く好みの問題っすな。


錬金術というハデな要素はあるものの、物語の設定と話運びはかなり落ち着いた…言ってしまえば地味なものをチョイスして、一年以上にわたってキッチリ織り上げたっちう大きな仕事はホンマ、スゲエと思いますよ。お疲れ様でした、ってところで。