のだめ/はなまる

のだめカンタービレ フィナーレ・最終話。揺らいでて迷ってて立ち止まっているのだめさんに、千秋さんもどうしていいか決めかねている。無理してこの道を進ませることが本当に良いことなのか、のだめさんの自由な状態を尊重する方が幸せなのではないか。しかし千秋さんは、のだめさんのあのピアノをどうしても諦められない。だから弾く。一緒に弾く。…やはり彼らにとって、音楽こそが感情の交わりの第一位なのだなあ。格闘家が拳で語るように…ですか? 違いますか。


少しずつ段階を踏み、彼らは変化してゆく。ここでアニメは終わるけど、変化してゆくことが確約されているような、未来がどんどん待ち受けているような彼らのお話は続いてゆく、のだろう。ザショウマストゴーオン、お楽しみはこれからだ。失敗や挫折も含めてな。


前回みたいなちょいとハデな作画じゃなかったが、最終回だけあって…というか最終回まで変わらず、絵的に揺らぎの無い風情でよろしかったんじゃないでしょうか。のだめさんがお子さん相手にピアノ弾いてるシーン、服の肩紐が舞っているように動いてるデフォルメはちょっと面白かった。


●総評。前シーズンよりの延長線上にある作品で、ドラスティックな変化とかビックリの隠し玉要素とかは盛り込まれていない。そういう意味では少々マンネリだったとも言えるでしょうか。お話の構造としても、のだめさんのコンサートや課題消化などの要素はあったものの、でかい目標に向けてグイッと収束してゆく…ってな判りやすい感じではない。散漫といえば散漫。


でもまあ、それらは別に弱点でもない…というか、そんな雰囲気を是として作られていた作品でしょうな。のだめさんたち複数の若モンどもが、しょーもなかったり重大だったりなイヴェントを通り抜けてゆくお話。そうねえ、基本的には挫折と再生の連鎖の物語なんだよねえ。ただ作品のカラーとキャラクタが、全体を過度に深刻な風情に傾くことから防いでいる。それは得がたい特色であると思います。


このシリーズの特色として当然ながら音楽要素があるのだけれど、その演出的力は衰えず維持していたのは大したものでした。特にルイさんのコンサート以降は純粋に音楽のパワーで押してゆくという、愚直かつ非常にごまかしづらいヤリクチになってて感心。…あとCGもね。ちゃんと改善/改良のあとが見られたものね。そらオケ全員をポリゴン化できれば大幅な省力化になるだろうしなあ。うん。


てことで、多少薄味ではあったものの、ウェルメイドなアニメだったと思いますよ。


はなまる幼稚園・最終話。Aパートはクリスマスのキセキによって大人になる夢、のアンズさん。旅の道すがら「見知らぬツッチー」と出会い、語り、踊る。…夢ってェのは「喪失」である。見たいもの見たくないものに関わらず、その中心存在以外の要素はぼろぼろと欠落してゆく。この場合、「思い人とつりあう自分になって彼と出会う」という要素から外れた、相手がツッチーであるという要素さえ失われている。だからこそ「もう一度ツッチーと出会う」というゼエタクもできようというものではあるのですがね。とまれ、ボンネットバスは夢の大道具として効果的でんな。


Bパートは…そして繰り返される日々。寅さんっぽい役回りでツッチーを応援するアンズさんが(どこまで意図的なのかはともかくとして)とても健気でいじらしい。結局は山本先生の霊峰の如き天然加減にあえなく返り討ちにあうのですが、まァこれは物語上しゃァねえとこではあるわな。あと、だんなさんの絵がちゃんと「絵」なのに割と感心する。キーとなる聖母っぽい絵はともかくとして、ね。


●総評。幼稚園に頼んない先生がやってきてアレコレする…という外装から期待されるとおりのホンワカしたお話でよござんしたな。おませな三人組園児さんに一見ダメでよく見てもダメだけど好人物な先生に完璧菩薩な同僚先生に、と強力な布陣でパッケージングされており、そのアリネタなところも含めて好ましい。


…それにガイナ風味の妙にオタっぽいネタが差し込まれてくるのがこの作品ならではの特色ではあったなあ。原作知らんのでアレなんですが、あの一連のネタは原作準拠なんでしょうか。いや完全に同一だったとも思わんが、テイストはそんな感じだったのかな。あるいはアニメ独自の風情なのか。まいいや。


ちょっと興味深いのは園児さんたちの過剰ともいえるデフォルメデザインで、園児たちだけのシーンならまだしも大人たちが絡むとホンマ別生物の世界である。意地の悪い見方をすると「園児たちを人の子供ではなく愛玩動物的に見ている」という考え方もできんこともない。が、土田先生の回想シーンにて、現在はちゃんと学生している妹さんがあのデフォルメ体形になってたのよね。ワシこの絵を見て「あ、この世界はちゃんと大人と子供が繋がっているのだな」と感じることができた。多分作品的にはそんなでもないのだろうが、ワシ的にはかなりヘソとなるシーンでしたよ。


あとはまあ、週替わりの贅沢エンディングですなあ。次はどんなテで来るのだろう、と結構楽しみにしてた要素でしたよ。作る分にはめんどくさい仕掛けだったと思うけど、ねえ。てことで十分に楽しみました。満足です。あとワシはヒイラギさんが良い。博識で冷静だけどほめられると弱い。最高。