看板四題

●しょの1。電車の帰りっかかりから見える窓外風景に、何か知らんそこそこ大規模な工事をしてる場所がある。電車が高架を通るので、普段は塀で見えない内部の様子が見えたりする。んで、工事業務者用の標語と思しき大きな看板があったりすんのですが、その文言が「勇気と肉親の愛情をもって根気よく」。…いや、言うてることは判るんですが、何か味のある文章やと思いませんかこれ。微妙に悪い語呂といい「肉親の愛情」という語の唐突さといい、何となくブレランの看板群を思い出した。基礎の充実の上に。コルフ用品。


●しょの2。同じく電車から見えるビル上の大きな看板に「slimming」とある。おおこんなところにスライム屋さんが。多分さまざまな物にスライムをぶっかけたりあるいはスライムと同化させたりするようなお店なのであろう。それはぜひ行ってみた…くもないな、それほどは。別に。当然ながらこれはスリム化させるお店であってダイエット文言。スリミングであってスライミングではない。誰もワタシみたいな間違いはしやせんわな。


●しょの3。同じく美容院さんがあって店名を「Cure」という。痛んだ髪の毛をやさしく補修したりするようなお店なんでしょうね。ところがワタシはここの看板を見るたびにカレー屋さんを想起してしまう。CureとCurry…ってケツの部分がぜんぜん違うじゃんかこの喰いしん坊め、と言われても反論は出来ぬ(喰いしんぼだし)。でもね、ここの看板のデザインにも理由があると思うんだ。まるぽちゃっとしたフォントに黄色地に茶色で「Cure」ですよ。あんまし髪を刈る店の色じゃないぞ。カレーだカレー。


●しょの4。帰り道すがらの住宅地のガレージ前に「頭上注意」の看板がぶる提がっている。手作りの看板のようで、もうかなり古い代物だ。んでもってその注意すべき「頭上」だが、どうも以前は雨樋だか何だかがあったようなんだけど、今となってはすっかりさっぱり何も無い状態である。しかしその代わりと言っては何だけど、この頭上注意看板自体が斜めに傾いで道の方へせり出している。なるほど自分を作ってくれたご主人様のため、いざとなったら不惜身命、わが身を投げ出してまでもその存在意義を全うする、これ誠に忠義なり…ってェかキミ、邪魔。