超大河原邦男展・その他

●今朝の地震の余波で本日の手伝い仕事が先方の都合によりキャンセルとなり、思いがけず午後がすっぽり開いてしまった。このまま帰るのもちと芸がないなと思ったので、帰りとは別方向の電車に乗って兵庫県立美術館の「超・大河原邦男展」に赴く。急に思いついてふらっと寄っただけなのだが、いやあ面白かった。古い資料とかのマジモンを目の当たりにできるってだけでも素晴らしいわよね。

資料や絵はほぼ時代順に並んでおり、参考資料の親切さもよい。例えば安彦によるガンダムガンキャノン)原案絵の直前にスタジオぬえ版「宇宙の戦士」の絵が掲示してあり、あーなるほどこれは影響受けてんなあと判るようになってるとかね。んでまあ一見して思ったのが、設定資料のゲンブツって小せえのな、ってこと。あの大きさで鉛筆仕事であそこまでの精度を出せるんだ、プロってすげえなあ、とラクガキメインのワシは思うしかない。

一方ちょっと残念だったのはロボットメインでワキメカとかが少なかったことかな。これは当たり前でありワシの期待がムリなんだけど、でもワシ大河原デザインのどうでもいい小物デザインが好きなのよ。ガンダムテム・レイ謹製ダメパーツとか、ああいうの。多分ワシ、大河原デザイン独特の部品描写のデコボコリズムが心地よいんだろうな。そういう意味で、トライダーの内部でワッ太が登ってくメカトンネルの設定には心奪われたっすよ。いいねえこの謎機械。ずっと見ていたい。

個人的に収穫だったのはダグラム敵メカの初期設定絵、この頭部がほぼバイファムのウグ初期設定なんすよね。ウグの方はみのり書房のムック(時代やねえ)で見てて知ってたけど、このプロトソルティック? の絵は初見だったのでかなり興味深かった。妙におどろおどろしいデザインといい、ダグラム初期案の「スペースバッファロー」での敵は異星人とかだったんかしらん? とかいろいろと妄想が湧く。

そして実物大ボトムズ。これを見られただけでも元は取れる。多分この鉄塊の前で一番時間消費してたと思う。すげえわやっぱこれ。…この倉田ボトムズが神戸という、あの鉄人像のすぐ近くに来てるってのはある種の皮肉でもあろうか。ま、それは穿ちすぎ。

入り口んとこに巨大なガンダムの手のオブジェがあって目を引いてたけど、アレってあんまし…大河原デザインとは関係ないよな、よく考えてみれば。まいいか。

●ワシが利用した阪急の最寄り駅は美術館からはちと遠く、でもまあ急ぐワケでもなしと葉桜映える並木道をのんびり歩いていったのだが、あの辺一帯の雰囲気ってのもまた面白いね。ゆるくてずうっと続いてる坂道、広い道路と低くて敷地面積の広い建造物という風景は、何というか「鷹揚」な雰囲気の街だな、と。ワシが過ごした土地ってのが、ド田舎の急峻な山奥かさもなくばせせこましく小さな建物がぎゅう詰めの平地という状況だったので、余計にこのゆったりさが印象深いのかもしれない。

●鑑賞の帰り道、さて夕飯はどうしようかなと思いつつ歩いていると強烈なカレー香。思わず見回したがそれらしい店はなし。一つ二つ路地を隔てたトコにカレー屋でもあるのか、あるいはあすこで回ってる換気扇がその店裏なのか。いずれにしてもこの一撃で思考は方向付けられてしまった。カレーにしようカレーに。うんうん。