赤い唱歌を後に引き

●自転車に乗っているときが一番歌を歌うにも乗ってるときだ、とかの島本和彦も述べ立てているように、あの乗り物には何か身の裡から湧き上がる情念を抑えきれなくさせるような効用が時によって、ある。これは割と人類共通の宿業であるのだと思いたいワタシである。じゃねェとこの効用によって恥掻き捨てたのが一度や二度で済まぬワタシの立つ瀬が無い。いや無いではないけど、その瀬はかなり急流なので流されちゃいそうです。


…具体的にワタシが自転車上で何を口走った経験があるかって、それは意図的によく思い出せないのだけれど、うーん例えばガキの頃インネン付けられた地元の不良さんを今の知識でネチネチ言い負かす算段だとか、そんなんだ。他にもあったと思うが意図的によく思い出せない。


てな思いを持ちつつ実際に他者の自転車上放言場面に出くわしたことは無かったのだけれど、今回初めてそういう人を見たので嬉しかったなあ、ということです。人通りの少ない夜道の角曲がったら、品性卑しからぬ風情のサラリーマンのおっさんが自転車漕ぎつつ「わったぁしーはうちゅうぅーじんー」とか甲高いにも程がある声で歌っていた。すれ違いざま黙って去ってったので表情はよく判らなかったけれど、それは武士の情けであり民の気遣い。歌ァ上手かったぜおっさん。


●とまあ、本日酔って帰ってきたときの風景を書いた日記でございました。もう酔ったのでお休みなさい。