あの人が今

●一月も六日になると街も人出が増えますな。買い物に出ても閉まってる店が少なくなってきたのはありがてえ。安い店、食材売ってる店が少なくて困ってましてんね。


しかし…「前作」をやってたときもそうだったのだが、駅前の自転車やら道端の花壇集積やらを見ると「右からダッシュで巻き込んだら効率がいいな」とか「この大きさはまだ巻き込めないな」とか、無意識に脳内の「塊魂ルーチン」が活性化されてしまうのは困ったものだ。正月開けで人が増えてきたので、商店街なんか進んでるともどかしくってしかたねえ。あー、一気に塊をデカくできるチャンスなのにな!


などと思いつつ街を逍遥していたら、どっかで見たような人とすれ違った。はァてさて、誰だったかなあ。しばらく考えてやっと思い出した。以前ちょっとだけ離れたとこに住んでた頃、風呂屋でよく見かけたおっさんだ。似たような時間帯に風呂屋に入るので何となく覚えたってだけで、挨拶もしたことない程度の「顔を知ってる人」である。


なんですぐ思い出さなかったかと言うとそらアンタ、見た目の体積が半分くらいになってたからだ。以前は恰幅の良い労働者風の人でして、髪型と体型と口髭から密かに「角刈りダルマ」なんて渾名つけてたような人だったのだがな。すれ違ったその人は、ほほこけて痩せてまるで別人。髪型と髭、それに雰囲気が同じだったので思い出せたような次第である。


…何があったのだろうなあ。まさかあのトシでダイエットもないだろうが、ひょっとして大病でも患ったのか。あんなけ痩せたってことは、もう生死の境を踏み越えかけたような大事だったのだろう。しんどかったねえ。恢復して良かったねえ。などと、話もしたことない人の人生を思い胸の熱くなるワタシであった。


ま、別人かもしれませんけどね!