あさっての方向。

あさっての方向。最終話。そして夏が終り、物語は日常へと回帰する…って、マジで元に戻るのか! 小清水さんはこの作品のデウス・エクス・マキナだろうなとは思っていたが、ここまであからさまな使い方されるとはちょっと思わなかった。まとりあえず、全ては丸く収まって大団円である。


何となく窮屈な最終回で、それまでちょっとダレ気味に展開されてきた話運びをなんとかまとめました、って印象がぬぐえなかったな。少なくとも尋・椒子組は前回くらいに到着してても良かったかも…などと思ってたが、逃げたからださんがテッちゃんと出会うシーンの泣き顔がなかなかの破壊力で、強引にねじ伏せされたって感じであります。今回からださんは何度か泣いてはるんだけど、この時のが一番情感込めて描いてあるのは正しいような気がする。


総評。どちらかというとあまり得意じゃないジャンルの作品だけど、年齢入れ替わりという突拍子もないギミックが大きなフックになってて、なかなか楽しんで見ることができた。そして異様に落ち着いた演出も総体としての評価どころ。一つの大嘘の周囲を丁寧な現実感で固めて見せる、という手法の安定感がよござんしたね。


ただ、ちょっと余裕が無かったかなあ。いや一話単位で見ると充分なタメも間もあるんだけど、全体としての話数がちょっと、ね。椒子・からだペアの日常はほぼケーキ作ったくらいしか印象にないし、後半のペンション話も膨らむ前に終わってしまった(ペンションの存在も「話を終わらせるための装置」に近い)っぽいし。要するに、もっと彼らの(非)日常を色々と見てみたかったなあ、と。


それでもまあ、ワタシなんぞでも最後まで楽しんで見ることができた、ってのは地力の強さでしょうて。アニメ化するには難しい話だったと思うけど、スタッフの技量は確かだったのだなあ、と思いました。はい。