ソラノヲト/バカテス/ハガレン

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト・最終話。ウォーモンガーの上官によって開戦の火蓋は切られようとしている。ここに及んでどうにもムチャな隊長さんの暴走により、事態は混迷の度合いを深めつつ…まァ、デウス・エクス・マキナを待つ展開となるワケですわな。てことでカナタさんの響きに先導され、衆生合切の行き先を救うリオさんの登場により物語はシメとなる。


うーん…確かに仕込みも展開もちゃんと揃っているんだけど、イマイチ話にノっていきにくいな。こんなネタあんな要素という記号はあっても、それに上手いこと情感を乗せ損ねているというか。詰め込み過ぎな展開のせいもあるが、ちょいと舌っ足らずな気がしましたよ。内田直哉の上官さんとか、いかにも「ストーリーのための機能」しか持ってないみたいな損なキャラではあったしなあ。…あーでも、あの魔物全としたタケミカヅチは良かったね! あんなキモっちいメカが小隊の最後の希望となる、ってのはちと面白い。


●総評。かなり手間ヒマかけて立ち上げられた作品であろうことは、背後設定の深そうな感じやちょいとヒネった道具立てなどからよく感じられる。キャッチーなお嬢さんたちの立たせ方の一方に、結構悲惨だったり/あるいは微妙な心理の交錯があったりな脚本を持ってくる、っちうバランス感覚とかね。間合いというか奥行きというか、「雰囲気アニメ」(てな言い方はマイナスイメージもあるけれど)をちゃんと構築しようとした態度は、割と買う。


ただちょっと、そこまでの「雰囲気」が出てたかっちうと難しいかなあ、と思ったりする。世界が少々息苦しいというか狭い感じというか…いや狭いなら狭いでよいのだが、それを狙ったものでもなさそうだし。つまり少々「どっちつかず」な立ち位置になっちゃったなあ、という印象がね。軍とかお嬢さんとか破滅後の再生世界とか、そういう要素がシックリと噛み合ってなかった感じがする。そうねえ、この世界観と狙いなら、もう少しおとなしくて素朴なデザイン/コンセプトの方が合っていた、のじゃなかろうか。どうか。


でもまあ、上でも書いたとおり、丁寧に作り上げんとしたその態度は良いものだとは思います。純粋にキレイな画面と得がたい演出もありましたしね。何より最近は珍しいアニメオリジナルの作品だし、そこら辺でちょっと点数甘くしちゃうキモチはあるんですよなあ。


バカとテストと召喚獣・12話。FクラスはAクラスに挑むため、あれやこれやと画策する。敵が強いなら弱体化すればよい、ってことですな。コネと状況誘導を使って相手を連戦疲弊させたり、隘路による各個撃破を狙ったり…ってまあ、この召喚バトルがどこまでの自由度持ってんのかよう判らんので、あーそういうこともできんのかー程度の認識ではあるのだけど。…でも最後の鐘を落として分断する作戦は、アキヒサさんのトラブルが無くても同じ大事故になってよね? それはちょっと…。


先週に比べるとちょいと求心力の少ない展開ではあったかなあ。先週はツメコミ過ぎっぽい感じもあったが、一方妙なドライヴ感もあったしね。ましかし、これはこれで普通に悪くない…と思いつつ、ラストの屁ェのようなアンチクライマックスもかなり好きだ。やっぱチミらはこうでなくっちゃな、という安心感が無いでもない。うん。


モブがどんどんやられてって画面上が主要メンツになってってる中、最後まで話の横っちょにからんできてるモーホーの人の存在感が何やらでかいぞ。いちいちバトル状況に喰い込んで来てるのがおかしかったっす。


鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST・50話。マスタングたちの叛乱はセントラルをゴタゴタさせる。何がどこに向かっているのか混沌としている中、頭の中に「絵」が描けているのは多分、お父んとお父様のヒゲ二人だけなのであろうが…そして集まってくる懐かしの人々。ふむ、戦力の投入というものを判っているねェ。逐次投入はダメであり一気呵成に盛り込むべし。実際の戦闘ってだけじゃなく、お話の作り方としてもね。


作戦遂行に当たって極力不殺を貫いているマスタングの御一統と、対照的に手段を選ばぬ鋼鉄加減を持つブリッグズとその親玉。まァこの作品の世界観の許す限りという条件付きではあるが、オリヴィエさんの仮借ない立ち居振る舞いはいかにも「デキる軍人の人」っぽくてよろしい。マスタングさんたちの少年マンガ的な正義観も、それで浮き彫りになるでしょうしね。その甘さをどう乗り越える…あるいはどう利用するのか、ってとこですか。


それにしても、じっくりと描くものだなあ。序盤の急ぎ足ぶりからは考えられぬほどに腰据えている感じ。お互いの勝利条件がイマイチスッキリしてないので散漫なところもあるが、でもこういう大きな流れの物語ってのも最近あんまし見てなかったのでねえ。割と楽しんでますよ?