フリーレン/薬屋のひとりごと

●葬送のフリーレン・14話。Aパートはフェルンとシュタルクのちわげんか。まるまるしてるフェルンがめんどくさかわいい。俗のザインと非俗のフリーレンの両方からしょっがねーなと言われるっつー、そういう若い時代のアレである。ザインの言う「大人になると衝突を避けるようになる、だからああいうのは若者なりゃこそだ」ってのは小憎そいほどよく判る。大人のフリをし続けたハイターと大人をいいかげんにやってるザイン、二人に対してよく判んねーけどってなテイであたまなでなでしてあげてるフリーレン様はいと神々しきことですね。

Bパートはヒンメルからの指輪の話。無くしちゃった過程がこの作品らしくトボけつつもダイナミックで、いちいち話のネタになりそう(かつ死にそう)なシチュでバカだなあ。話としては失せ物見つかるというそれだけなんだけど、想起してくるヒンメルとの過去と新たな認識を経ているフリーレンの経験、その歩みを踏まえての情感がよろしい。あとフリーレンが適当にプレゼント選んだ時の「早いなあ…真面目に選びなさいよ…」っつーヒンメル/岡本信彦の演技がいろんな意味で抜けた感じでいい。ファナティックからほんわか系まで、この人も演技幅広いよね。

薬屋のひとりごと・8話。先週二階建てでやってたのをここで視聴。帰省いきなり面倒事に巻き込まれるマオマオさん。妓楼にて服毒案件の男女とくれば身請けするのしないのの心中が定番だが、ってとこから二重三重にオーヴァーラップする真相への道筋がいかにもミステリっぽくてよろしい。結局のところスカッとした結末にはならず、妓楼も後宮もいびつな構造を抱えたまま進んでいかざるを得ない…ってのもまああるあるよねえ。

瀕死の二人を前に呼心拍確認後気道確保胸骨圧迫人工呼吸はともかく、水じゃなく炭を持ってこいって言うマオマオさんは一般的な救急救命知識じゃ太刀打ちできん領域だわなあ。活性炭に毒を吸着させて吐かせるっていう描写なのかな。そんなマオマオさんの師匠にしてはるか上を行ってそうなおやじどのはますます経歴が謎である。達観具合もそうだけど、過去なんかすごくめんどくさい目に遭っての今なんでしょうかねえ。

薬屋のひとりごと・9話。Aパートは大酒飲みおっさんの死、ならそりゃ自業自得かなという前置きから、ストレスによる味覚障害と周囲の度の過ぎた悪戯による過剰な塩分投与という合わせ技による事故/事案と看做す。その二つの共通要因として、実直なこの男への逆恨み感情を置く。確かにまあ、そういう面倒な人事案件はジンシ様の領分だわな。…スネていじけてる彼を「子供」と言い、素直に落ち込んでいれば「普通の青年」だと評するマオマオ氏は正しくヤレヤレ系の主人公である。ま、そういう別の面からのの評価自体は関係性の前進ともいえるでしょうかしらね。知らんけど。

Bパートはお堀の土座衛門…女官にこの言葉はそぐわんな。ともあれ検死にまでかり出されるってのはマオマオ氏も多忙である。事件に対する一応の回答は示されたが、そこここに引っかかりを残しながら話が進んでいる様相であり予断を許さん感じはするな。…マオマオさんが死生観/薬毒観を吐露してる時に見てたのはあれナンテンかな。毒にして薬の本草としていい象徴ではある。あと纏足があるんだねこの世界。中華時代物には欠かせん要素とはいえ、割とめんどくさいネタなんでナシにするケースも多いんだけどね。まあピンヒールだの花魁のポックリ下駄だのと目的は同じでっせと言われりゃそうなんだけども。