フリーレン/薬屋のひとりごと

●葬送のフリーレン・10話。フリーレンとアウラの決着。前回の弟子同士対決がゴリゴリのアクション回だったのと対照的な、戦う前から結果の決まっていた静的な話。それまでフリーレンが隠蔽してきた魔力を開放し、圧倒的力量差を見せつける象徴的なシーンをクライマックスに置き、それをキメさせるためにその前の30分枠ほぼ全部を費やす…という、なんちうか溜めすぎにも程があるシーケンスではある。まあ気持ちいいからな…そういうのは。全てを理解したアウラの瞳が、人間離れしたぐるぐる目になるとかオーバーアクションでいいねえ。

魔族は言葉を単なる道具として扱って毛ほども情感を置かず、何をしゃべろうとそこに真実も心理も無い。それは人からすれば大いに冒涜的なことだけど、それとパラレルに在るのが魔族にとっての魔力であると。それまで勝とうが死にかけようが超然としてナメた態度であった魔族(リュグナー)が、こと魔力の隠蔽に関しては卑怯だと情けない文句を垂れる。単純で獣のようなヒエラルキーの為に、魔力に関しては腹芸一つもできず目の前の「ウソ」に騙される。…フリーレンとヒンメルが「なんとなく」で真実を掴んでいるのがその対置なんだろうね。

アウラ竹達彩奈さん、台詞は多くないが(今回田中敦子の1/5くらいじゃないかしら)魔族らしい傲岸さとラストの絶望とで見せ場構築が流石。しかしたけたつさんも「キャラの立ったワンポイントゲスト」枠になったんだなあ、とちょっと感慨深く思ったり。…あと今まで作画に妥協のなかった本作だけど、乱れこそないがところどころぎこちない(中割りが物足りない)とこがあったりしたな。階段を下りる師匠弟子とか、あとで修正されるのかね?

薬屋のひとりごと・3話。マオマオさんは着実に、ジンシ様のトラブル解決便利屋扱いになりつつある。相変わらずマオマオさんはジンシ様の感想が「ウザイ」以外に無いのだが、まーねェ…初っ端の印象がサイアクってのはあとは上がるしかない、ってことだしねェ(創作物語の場合)。とまれ、その便利屋依頼として後宮内での幽霊騒ぎに駆り出されるマオちゃんである。一見したところ、凋落の道にある後宮の妃が乱心しているように見える事案であるが…というね。

複雑なポリティクスの中でなんとか自分の道を進もうとする悲運の女性、芙蓉妃の描き方が主題ですわな。朝には白いが夕には茜さすという、時間限定のツヤっぽさを表現するための造形だろうけど、この作品にしてはすげえちちのでかい芙蓉妃の舞踊がなかなかエロティック。裡に思いつめた決意があるってェのもそういう美のスパイスであろうか。マオちゃんはちんちくりんのミソッカスな外見ながら、かつて花街に居たってのがそういう方面にも聡いよ、ってのが面白い。もっともご本人そのものの情感はまだ、これからでしょうけどね。さて。