フリーレン/薬屋のひとりごと

●葬送のフリーレン・12話。Aパートは剣の里に在りし勇者の剣。真の勇者にしか抜けないカリバーン的なアレであり、当然世界を救った勇者ヒンメルが抜いた…ワケではない。つまりまだそこに在る。それでもキッチリ世を救ったヒンメルたちは、ほなワシはパチモン勇者でもええわい剣ごときに人生選ばれてたまるかボケ、ってなもんですな。血統などに依らない草の根勇者ってのも既存のパターンではあるが、イベントアイテムに選ばれないのがマジ勇者ってのも珍しいかもしれない。そのサブタイに本当の勇者、ってのもよろしいね。

Bパートは戦士シュタルクの誕生日。意外に(失礼)重い彼の出自、自分は恵まれず誰からも祝福されていなかったという回想に、あれこれ少しずつ情報を得て実はそういうわけでもなかったのだな…と気付くまでの流れが丁寧である。ヤな性格の父に随伴する兄を見せ、ああこいつもヤなやつだなと思わせといてのエエお兄さんぶりがほろりと来るだけに、魔族に根こそぎ滅ぼされ自分ひとり逃げるしかなかったという経験はキッツイものがある。彼の自己肯定力の低さはそういうとこに根差してんのもあるだろうな。

前半後半通じてフェルンさんの揺れ動くツンっぷりが実に攻撃力高くてよろしかった。おれがフリーレン抱えるよほら貸してほらほらつってるシュタルクに、ちまっとふくれてるフェルンさんがかわいい。えっちだしね。一方で服だけ溶かす薬が誕生日プレゼントになるとか思ってるフリーレンさんはまた、別方向におぼこいっつーかなんつーか…。フランメが服溶かしてどうこうってのはまあ、うん、なんとなく判るけど。

薬屋のひとりごと・5話。マオマオさんは皇帝の正妃選びの園遊会へとお供する。寒い季節なので体あっためる工夫をしてたら各所から引っ張りだこ…マオさん本人も言うように「組織内部で慣例化するとアイデアも出ない」のだな。一方で背後には何やら陰謀の臭いもあり、炎色反応によるカラーかがり火だの毒を感じさせる雰囲気だのキナ臭い。園遊会がその発露となる、のだろうかしら。

マオマオさんのそばかすは化粧で描いたものであり、それは女としての価値をわざと毀損させるためのもの。花街で火の粉を避けるための悲しい自己防護策ではあるが、まあこれは「メガネ取ったら美人」っていうアレの変奏曲ではあるな。案の定ジンシ様の認識は「面白い玩具」から一歩進んだようで、うんなるほどねって感じです。…あとマツタケを是としてうひうひしてる辺りの架空中華の割り切りぶりは清々しいわな。こういうとこはある意味、誠実で親切であると言える。いいことです。

薬屋のひとりごと・6話。ウチんとこは連続放送で遅れをとりもどすようです。園遊会本番、流石この国のトップだけあって策謀てんこもり、あちこちに程度さまざまに、不具合というか軋みのあるイヴェントである。簪のやりとりというノンヴァーバルなプロトコルでマウンティング合戦とか、先帝の妃であるリーシュ妃が先帝崩御によって現帝の妃にリプレイス、その上でこのリーシュ妃が最若年である…という「物事ヤヤコシし尽くしたろか」ってな設定とか。すげえありそうな感じで笑っちゃった。先帝の女性嗜好もなかなか…ねえ。

今回の毒ギミックはアレルギー。リーシュ妃は青魚(ついでにマオマオ氏はソバ)アレルギーであり、どうやらリーシュ妃は侍女にまでナメられて好き嫌いレベルでしか認識されてないアレルゲンを盛られた、と。そしてそれにとどまらない、別の毒事案が…ってとこでシメ。主人公がそういう属性なので、事件が大体毒や薬がらみになるのがご都合的おもしろさではあるな。…あとリファさんとこの侍女にコッソリ身元をチラつかせてビビらせてクレしん顔でニヤついてるマオマオさんダメかわいい。そして催吐薬を服んで大喜びでゲロゲロやってるマオマオ氏の悠木碧が実にきったねえゲロ演技で楽しそうだった。