吸血鬼すぐ死ぬ/虚構推理/ヴィンランドサガ

●吸血鬼すぐ死ぬ・最終話。Aパートは承前でケツホバ卿との(この作品にしてはそこそこ)マジバトルという割とラス話っぽい感じだったのに、そのあとの温泉回がどうしようもなく盛りだくさんですっかりそっちの印象になってしまう。原作に無かったサンズちゃん要素も突っ込んでくれれば何も文句はない。つーかほとんど前フリも無くクワバラさんやへんな父母とか出てきてるし、もう何でもアリですわな。四人で離れてしみじみ呑んでるおっさん組にちょっと共感しちゃったのは同じおっさんとしてしょうがない。…吸血鬼温泉の人に畠中祐。ほかのアニメでもそうは見ない超オールスターキャストのボケ倒し状況にツッコミがほぼこの人だけという、なかなか胃の痛い状況でかわいそうでした。

Cパートはこの期に及んでコタツで小ネタ連発話。ラスト話として締まらないことこの上なく、とてもこの作品らしくてエエと思う。コタツで屁が出てシメ、ってさあ。面白ェなあ。

総評。んーあんま言うことないなあ。求めてるものを雑にどさっとお出しされてる感じで、こっちとしても喜んでがっつくくらいしかすることがない。1期に比べてキャラがそろってきてんので話のドライブもかかってるしねえ。問題があるとすれば3期があるかないか、その点のみ。どうしても縮小再生産っぽくなるし制作側のオイシさも薄れてるんだろうけど、なんとかノベタラーっと続けてくれるとありがたいのだけれど。どうかひとつ。

●虚構推理・最終話。うなぎ屋にて二人の男と、少し離れて小さな女。男たちはこんな場所に一人だけで女が居るということを不思議に思い、その事情を勝手に詮索し始める。その話の流れは意外な方向に…という、安楽椅子探偵というか九マイルは遠すぎる事案というか、そんな感じのAパートと、事情のネタバラシとして「実は幽霊がやりました」というこの作品ならではの何でもありモードとしてのBパート、の裏表で一本。「あなたの体調不良は心労からではなくマジ霊障なので治りませんよ、愛する妻と一緒に居られて幸せじゃありませんか(悪霊だけど)」つってそのまま去ってゆくおひいさまがなかなかお冷たい。…なんかコメディチックに終わってるけどいいのか? いいんだろうなこの作品/おひいさま的には。多分。あとついでにおひいさま品性墜落要素も欠かさず盛り込まれてスキがないことでございました。

総評。一般的なミステリの枠内に、盛大に禁じ手としての霊やら化け物やらを放り込む暴投作品・その2期。前シーズンは後半の鋼人七瀬パートがちょっとアンバランス気味に長くてそこが欠点だと思ったのだが、今期は割と違和感なく見られた。まあその、セリフとシチュエーションをカツカツに詰め込んでんなーって印象はあるし、ホテル王の贖罪編のように結構どっしりと長いパートもあったりもしたけども、その辺はこっちの慣れもあるんだろうかしらね。

ともあれ、毎度いろんな状況をセッティングし、今回はどんなヘンテコな理屈を振り回しにかかるのだろうという期待感は充分。かわいらしい外見に怜悧な頭脳、お嬢様然とした口調と最低値の品性…という琴子おひいさまのキャラは見てるだけでおもろい。楽しませていただきました。そこまで大人気アニメ作品ってワケでもなさそうなので第3期があるのかはアヤシイが、あれば是非見たいなあ。

ヴィンランド・サガ・12話。オルマルはその虚栄心と弱さに付け込まる。そこに出張ってきたのが兄トールギル。結果として大筋の危機は変わっていないのだが、「よっしゃほな戦うか!」と一瞬で腹を決めるのはこの人、マジでノルドの男ではあるんだよな。強くて頭が回って交渉にも長ける。クヌートとフローキの精鋭百余名を相手となればどう転んでも詰んでる状況だが、それを良しとして凶悪に笑うワケ。そういうお人だ。

オルマルは晴れて「人殺し童貞」を捨てるに至ったが、最悪な精神状態で最低の罠に嵌った上での結果に気分がアガるワケもない。多分この兄ちゃんは父ケティルに似て、この世界では優しすぎるのだろう。…なおさらトールギルの無茶な強さが不思議ではあるけどな。ケティルのカミさんの血筋がゴッツいのかね? ともあれ、トルフィンとエイナルはこっからどうしようもない大嵐を迎えることになるのだなあ。それこそ奉公人との小競り合いなんざ微風のようなものだったのだろう。ねえ。