ヤマト

●ヤマト2202・最終話。宇宙の危機は救われたが主人公二人はヤマトとともに次元の彼方、それを救う為に人類の打ち出の小槌たる時間断層そのものを消費できるか…という、まあエピローグである。真田さんの演説がなかなかエモくて、救うべき二人は英雄でもないし彼らの献身的行為による宇宙救済も結果論でしかない、それでも彼らは他ならぬ「我々」であるのだから…という論旨が泣かせることだ。この状況を指して「君たちがうらやましい」と言わせること、この一点で芹沢のおっさんを職業人として掬い上げる脚本は優しい。あとこれは些細なことだけど、ラストシーケンスにて空を見上げる市井の人々に、ガミラス人の青い肌が見られなかったのはなんかこう、ちょっと寂しいなと思いました。

総評。それまでぐだぐだ続きだったヤマトというコンテンツをよくぞここまでもちゃげたことだと感心した、2199ヤマトの続編企画。画面も引き続きで豪華だし演出も泣かせるしで見栄えはいいんだけど、いかんせん…話がどうも捉えづらい。いや、ちゃんと作ってあるのは信頼してるのでこれは見る側である私の問題だとは思うんですよ。それでも前作2199の翻案元の本質が単純な「ゆきてかえりし物語」であるからとはいえ、この俺でも「今どうなってる」「この先こうなる」と大まかに説明可能であった一方、この2202はちょっとあらすじも語れない。群雄割拠の入り組んだ設定ではなく、敵はズォーダーの白色彗星ただ一つ(とまあデスラーも居るけれど)という単純な構図で、イマイチ両者のパワーバランスがわかり難いのはどうにも困った。

監督の羽原信義、脚本の福井晴敏、それぞれ全力でぶつかった成果は疑わない。これは…そうねえ。ある程度、初期設定からの負け戦だったのかもしれないなーとか思う。まあその点で言うと前作の出渕裕ヤマトの時も「火中の栗を拾うようなことしてんなあ」と思ってしまい、しかしその懸念は結果的に吹き飛ばされたのだけれど、今回は出渕監督が降りたのも判るなあという結論になってしまった。難しいものだなあ。

デスラーの野望はまだなんら結実もしてないし、ヤマト世界にはまだまだギミックも残されているし、で続編の余地はいくらでもある。でも、この体制でのシリーズ存続は…どんなもんだろうかしら。あったら見たいけどもねえ。ともあれ、今作は決してダメな作品ではなかったし、充分楽しんだものでもある。結城デザインのベムラーゼとか宮川泰のボラー連邦テーマとか、期待するもんでもありますがねえ。