おそ松さん/少女終末旅行/キノの旅

おそ松さん・8話。前半はザ・フライ、あるいはメガテン的な何か。「合成装置を開発したデカパン博士」という状況設定それのみで押し切るという、この作品らしい久々の力技。早々に人物合成、そしたら雑な合成、すぐ三人合成、いきなりよく判らないクリーチャーとの合成、そして合成の合成…と見てる側の(テンポも含めた)予想を常に一歩先取りするペースで話を進めることで最後まで話を引っ張る演出力とネタ力が高い。これどうなんだという辺りまでエスカレートさせといてウンコオチというクソしょーもないシメ方も悪くない。あとポッドに入れられたキャラたちが皆一様に、なんかちょっと不安げなナチュラル表情してるだけなのが地味におかしかった。

Bパートは何故か十四松がイルカになる話。桑島法子の人が出てきてなんかこう…人情話のパチモンみたいなヘンな話を繰り広げるという、前期にあった十四松回の構造を再帰してるような感じ。最後、イルカとともに海に帰った十四松のバックに歌を流してしまい、というヤケクソ具合が素晴らしい。城みちるかなと思ったら佐伯ユウスケ…ああ、1話で「ちゃんとした」歌を歌ってた人か。いい曲だなこれ。…うん、今回のアソートが2期で一番おもろかったかなと。

Cパートあり、もう出てこないかなと思ってた山下七海声でのにゃーちゃんがトト子ちゃんとレベル低い口喧嘩するだけの話。会話のヤサグレ具合がとても高く、これは監督および音響監督の手腕だなと思ってたらまさかの「つづく」であった。確かにこの先を見てみたくはあるが…大丈夫かこれ。ちゃんとネタになるの?

少女終末旅行・8話。延々とつづく巨大な屋外ロッカー、中身はユーにとってどうでもよさそうなもの…。雰囲気的にこれは墓所だろうかと思ったらそうだった。このエピソードのタイトルが「記憶」ってのはなかなか気持ちいいくらいに適切ではある。何らかの形でかつての存在を残すものとしての記憶。墓ってのはそういうものだとして、あのチンアナゴ石像をその為の記憶者として設定するってのもいいねえ。あとユーさんは物忘れしすぎる、というかこないだのクッキーん時はちゃんとカナザワの顔作ってたから、何か行動やエピソードと紐付けてあれば思い出せるんだろうな。

あっぶねえ螺旋道のぼった二人が酒呑んで酔っ払う話でシメ。いやあ、これはいろんな意味で危ういご様子の話でよろしかった。特に普段シニカルへたれ気味であるチトさんが、いざ「びう」呑んだらタガ外れたみたいになってんのが判りやすすぎる。ユーの髪の毛喰ってんじゃありません。…月の魔力ということにしておこう。そしてここで月に向かうフラグが立ったってことでしょうかしら。なるべくなら精神や魂だけ月に行く、なんてオチは勘弁願いたいところですが。

キノの旅・8話。今回もキノさんはメインではない、というか全く出てこなくてシズさんご一行のお話。キノと違って定住できる国を探してる彼であるが、どうも平仄が合わない状況が連鎖してると見える。今回の「電波の国」も一見穏やかに見える場所なのだが、国の電波施設によって定期的に狂人が出るとされていることでそれぞれのボタンが掛け違ってゆく、ワケだ。ありもしない電波施設はこの国の人にとって無意識の底での依存部分であり、それを取っ払っちゃうシズさんはお節介者である。…ま、割と早い段階でそれに気付けなかったシズさんは、人生経験がもうちょっと足りなかったっちうことでしょうかしら。

あとなんか知らんうちにティーさんはグレネード属性の人になっていた。無口で無表情で手榴弾使いのお嬢さん、ってのもなかなか尖ったキャラではあるなあ。

シズさんに振り回された格好の電波の国警察署長、なんか檜山みたいな声のおっさんだなーと思ったら檜山だった。いろんな立ち位置のキャラをやることはあるが、こういう年齢層の役柄って割と珍しいな。