少女終末旅行/キノの旅

少女終末旅行・6話。ケッテンクラートが壊れちゃった、ってとこでチトユリの二人はまた別の人と出会う。このお姉さん…イシイさん、根城にしてんのはこれ航空博物館だね。ケッテンちゃんを治してもらう代わりに二人はイシイさんの「手伝い」をする。それは彼女の悲願、自分で作った航空機で海を越えた別の町に向かうこと…。

とにかく行動しなきゃ生きてられない、自分の生きがいはここにしかない、という人がその生きがいを失ってしまうけれどでも生きている…ってのはこないだのカナザワさんと同じ構図である。赤トンボみたいなアスペクト比の大きいイシイ機は、確かに長距離飛行には向いているけれども…やっぱ強度を持たせるのが難しいってこったろうなあ。ふわりと飛んだイシイ機が翼折れて墜落するシーンは、それまでの着実な盛り上げがちゃんと効果を上げてただけにマジで「ああっ」つって声が漏れてしまった。…絶望と仲良くなる、ってのは難しいねえ。

航空技術テッキーお姉さんに三石琴乃。トシ相応の役もどんどん増えてきてるけど、こういう地味で落ち着いたキャラってのは個人的にあまり聞いたことなかったのでなかなかええなーと思った。しかし石田が出て三石が出て…ってことは次は緒方かしら林原かしら、つってたら緒方さんはこのあとのアニメで出た。うん。

キノの旅・6話。今回キノさんはほぼ出番なし、冒頭にちょっとだけ出て場面の説明をしてクライマックス後に事後状況を語って退場。こういう形式もアリってのは今後もいろいろな話がイケますよってことで面白い。ちうことで本編は雲の中、高山を越える商売人の一団とその奴隷女。これがまあ、この作品の寓話的側面らしい極端な構図でして、商人たちはナチュラルにゲスくて邪悪、奴隷女に対して辛く当たるどころの騒ぎじゃなく、子供が一人前になるイニシエーションっちう名目でこの奴隷女を拷問死させようってのにやんやの声援を送るようなそういう人たち。一方で奴隷娘さんもそれまでの宗教的教義によって「誰も恨むな逆らうな」を是としてるもんだからほぼ「自己」ってもんがない。そんな中でアレコレの結果として商人一家がことごとく死亡したことで、奴隷娘さんは存在の意義を失いかけて…っちう話。

ここで娘さんに「お前アホ違うか」ちうて語りかけるのがエルメスご同様のしゃべるモトラドで、この人の実も蓋もないプラグマティズムによって娘さんは救われる。「どうしたら死ねるのか」と哭く彼女に、「死ぬためには生きなきゃな」と返すのがいいキャラである。…これで外見がモトコンポ、声が緒方恵美なのがなんか面白いけどねえ。