少女終末旅行/キノの旅/宝石の国/魔法使いの嫁

少女終末旅行・9話。暗い隧道を通りながら、ユーさんは例によってプリミティブな質問をしてちーちゃんをウザがらせる。生きてるって何だろう。さてなあ、って思ってたら巨大四脚ロボが出てきた。これはまた…ロマンだねえ。あとちっこくてお話のできるロボも出てきて、彼はこの広い空間で最後に残った「さかな」のケアをしている。

この管理者との会話で、それぞれに生きていることについて何がしか思ったりする二人である。変化してゆくことが生であるならば、死んでなくなってしまうことも逆説的に生である。しかし、この世界は…破壊と再生の後半を欠いているこの世界は、果たして生きているといえるのだろうか。

さらりと「共感できるという能力を持っている」と言っちゃった小ロボが何気に凄い技術ですな。もう彼は生きていると言って差し支えないのではないか。だからこそ、「でかいの」が崩折れたときにひょっとしてこいつも…と思わせる寂しさがある。どちらにせよ、さかなもこのロボももうそう長くはないだろうな…。

あといきなりの水着(すら着てない)サービス話でもあったんだけど、二人のあんまりな身体的差異が明確で色々と面白かった。同じもの喰ってんのになんであんなに違うんだろうね。ね。

キノの旅・9話。小ネタ集ですな。冒頭はシズ・キノ・師匠の三連荘やらかしてまだ生きている麦人狩人さんのギャグ話。頭が足りなくて軽い感じの浅沼キャラがよろしい、っつーかこういうアニメでもないともうそう言う役もやりにくいだろうなあ。

エエコトしたら徳ポイントが溜まって悪いことしたらポイント引かれるという、実装したらそらそれでいろいろ困難もありそうな国においては堀内賢雄のもと大統領が苦悩する。折角溜めたポイントでいっぺんくらいなら人殺しもできるのに、私には殺したい相手が居ないのだ。思いつかないのだ。ああああもったいない! という苦悩はいささかサイコだけど判らんでもない。それだけをモチベーションにして大統領にまでなりあがったとなれば、そら足元が揺らぐくらいの絶望はあるかもしれんな。

いくつか小ネタ国を経て、終わったと思ったら「あとがきの国」とかいうとこ通りやがった。検索してみたらこの原作、あとがき芸も割と有名であるらしい。こうしてアニメでもやらかしてもらえるってのは、作者にとっても読者にとっても幸せなことではあるよな。

宝石の国・9話。アンタークを失ったフォスさんは、冬のあいだに変化する。腕が、身体が、目が異なっている。そして心も…うん、心はまだ根っこの部分はフォスさんみたいですけどね。冷徹で陰鬱な雰囲気をまといつつも、いつものお仲間と話してるとつい彼らのペースに巻き込まれるというか、なんだかフォスさんらしい感じになってんのがまだ救いといえるかも知れない。しかしそれでも、「辰砂って誰だっけ…」はなかなかキツい一言ではある。宝石という「変化しないもの」の中に在って、フォスさんだけがまるで生物のように変化してゆくのはある意味この世界の希望ともいえるものかもしれないのだが、しかしその変化にはやはり代償がある。何かをなくしてゆくことがその担保なんだよなあ。そうしてみると、ほとんど変化の見えない他の宝石たちってのはそれはそれでどこか不自然なようにも見えることだ。

今回から上でも書いたように、フォスさんは目から身体からデザインがまるきり違っている。手描きのマンガなら、あるいはアニメでもある程度、キャラデザインを変化させても「手作業ゆえの揺らぎ」みたいなマージンがあると認識されてることもあって割と何とでもなるのだが、本作みたいなCGI作品だとその辺の塩梅…変化と連続性スキマのバランスを取るのも大変だろうなと思う。ビフォアアフター並べてみるとかなり違うんですが(一番は瞳の大きさだよね)、それでも何となくフォスだと認識できるってのは上手くいってるってことだろうか。どうでしょうか。

今回はまた金剛先生萌え回でもある。僧衣を脱ぐときのたくましい背中もいいし、困ってるフォスをデッドパンでからかう余裕もいい。「大人気」ですか。中田譲治の声質の勝利ですなあ。

魔法使いの嫁・9話。異形と化したことの反動でなんかいろいろ平常に戻ってくれないエリアスを待ちながら、チセとルツはこの村を逍遥したりする。アンジェリカねーさんに言葉かけてもらったり、リャナン・シーと老人のペアに平穏を感じたり。そして認識することは、彼女のエリアスへの思いはややもすると依存になってしまっていると同時に、エリアス自体のメンタルもどこか十全ではないということ。ね、これはやっぱ、チセさんが引っ張ってゆくくらいにならんと。そらねえ。

今回はいろいろかわいい存在が多くて、ルツの思いのほかわんころっぽい風情や感情とか、シルキーさんの物言わぬやさしさと気遣いとか、そういうあったかい雰囲気が思いつめがちなチセさんへのセラピーになってる構図が微笑ましくて良いと思った。あとアレやね、リャナン・シーの人はこないだの妖精女王と同じくらいにちちがご立派で、あとケツもハレンチで、何でしょうねこのデザイン。サキュバス系の存在なのに老人とちんまり同居しちゃってる彼女に、それって純愛なのではと言いかけたチセに「それは私の望む答えじゃない。私たちにとっての愛はそうじゃない」と言葉を乗っけてくるリャナン・シーさんは、ある意味重い人ではある。人じゃないか。

リャナン・シーに早見沙織、その一方的な相方に梅津秀行、ドラゴンおっさんの使いのセルキーに潘めぐみと今回もゲストが豪華。ガッチリ芝居できる人ってだけじゃなく、割とアニメ的に華のあるタイプのキャストをしてるって感じっすね。