昭和元禄落語心中/鬼平/オルフェンズ/リトルウィッチ

●落語心中の時間ずれてんの気付かなくて録画失敗、なんかかんかして補完。昭和元禄落語心中・7話。高座で倒れてとんでもなく弱気になっている八雲であり、何だってェと彼の中から落語が消えてしまうことへの恐怖なのである。そうして現在の枯れ衰えた八雲を見せた上で、後半は残ってたフィルムにて若い頃の彼を見せる、という流れが酷なことで。メインは先代助六の芝浜なんですけどね。前シーズンでこれ演ってた時、高座に登るとこでニヤッと笑って客席を指差す仕草がエエなーっつってたのを思い出す。ああ、時を挟んでもこういうトコで情景が蘇るってのはあるねえ。それが助六の高座となるとなおさらだ。

しかし本当に、作中最強に近い落語家の高座…という、虚構作品の中の設定に全く怯まない存在感が素晴らしい助六である。作画演出、山寺宏一の演技、ガッチリとかみ合わないとこうはいかない。あと何ですな、若き日の樋口先生フィルタがかかってるからってのもあるだろうが、まだ泥沼ってない頃のみよ吉/ゆりえさんのナチュラルなエエ女っぷりが輝いてましたね。このまま田舎に留まってるタマでも無かっただろうが、それにしても彼女なりの幸せは別にあったかもしれないなあ、とか思ったりもする。

松田さんから明かされる助六とみよ吉の死の真相は、うんまあそんなとこだろうなとは思っていたけれど、これを一人で墓場まで持っていこうとしている八雲はそら闇も抱えるだろうね。そしてそれ聞いて小夏姉さんを泣きながら抱き寄せることしかできない与太ちゃんの、やさしさと純朴さも沁みることだ。「何があった、言ってみな」「何でもねェ!」の会話がこの夫婦らしくてよろしい。

鬼平・6話。親父の墓参りに行ったら何の因果か泥棒稼業の弟子になってしまう平蔵さん、という話。かつての銕三郎時代のヤンチャを思い出しつつも楽しんでるお頭が可愛いと思います。なりゆきで弟子入りしてしまった盗賊ってのが善八なる老盗賊、池波世界でいう真の盗賊ってヤツっすね。あれこれやって最後はメデタシメデタシで終わる、番外編としてなかなかようできたお話である。

前回に引き続いてのコメディ色の濃い話だからか、全体的にちょっと詰め込み具合が目立ってた感じ。個人的にはエピソードや描写をもう少し整理して、それぞれのシーンを心持ち間合い大目に取ったほうが好きだけど、この話のノリならこの程度のにぎやかし具合がいいや、って判断もアリではある。最後に兎忠が乗り込んでくる辺りはあれ、完全に黄門様のシーンだもんね。

老盗賊・善八に高木渉。活発なジジイ役にも彼のガラ声はよく合ってますし、コメディアンぶりも堂に入ったもので安定感抜群。検索したら吉右衛門ドラマ版だとフランキー堺だったのか…なるほどですな。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・44話。クーデターのマクギリスに対して反撃に立つラスタル。マッキーかて脛に傷がないワケでもない、というか傷だらけなこともあり、立ち位置の不安定さもあってラスタルの討伐宣言は一定以上の「納得感」がある。印籠たるバエルがあればそんなゴタゴタもこっちに傾くやろ、と踏んでいたマッキーの目論みは外れ、事態はマッキー+鉄華団の叛乱組VSラスタルガエリオ達のアリアンロッド、という最終決戦になだれ込む。…これで最後、というマッキーの言葉はどこまでホンマになることやら。いや、そうなったとして皆が望む結末になる保障すらない、のだが…。

組をデカくしようと選択を繰り返してきたオルガであり、実際デカくなったのは確かだけれど、その成長は真後ろに爆弾の導火線を握った状態を常に内包してきている。そりゃ苦悩もするしマッキーを一発殴りたくもなるだろう。シノの「オルガが悩むならそうさせとけばいい」ってのも一面の正しさだろが、一方でおやっさんの「部下に反抗的な奴がもっと居ればオルガも楽だったろう」ってのも確か。オルガが選べることでもないけれど、どうあれば良かったのかしらと思わんでもないとこだろうねえ。ま、どのみちこの決戦を回避することはでけへんかったのかもしれませんが。

上で言うたようにラスタル側にも理がある、というか今んとこマクギリスの方こそ一発なんかないとキツいという状況。かといってラスタルが全面に非が無いように描くこともなく、(何らかの意図はあるにせよ)ガエリオとの会話でいささか極端な意見を述べさせたりして、その辺のバランス取りは考えられてるなって感じがする。いささかネガティブなバランス取りですけどね。まあマッキーの今後の行動には多分、一筋縄ではいかないツイストがあるだろうし、その辺でもうちょっと状況の流れは変わるだろうか。…鉄華団は流され気味ではあるなあ、今んとこ。

リトルウィッチアカデミア・7話。前回ちょいと考えるとこあって勉強に前向きとなるアッコさんだが、まあ一朝一夕に一流魔女になれるワケでもなく。…なんというか、上手くいかなくてもがいてる青少年を見てるってのは辛いね。彼女の場合はまだヘコたれてもぐいと立ち上がるバイタリティがあるから(ダイアナへの対抗心とかね)まだいいのだけれど…って、そのバイタリティがエライ方向に向かっちゃってますけどいいんスかそれ。というお話。

アーシュラ先生の言うとおり、ダメなアッコはそれでもちょっとずつ成長している。やっぱり問題児ではあれどこういう破天荒さはこの学園に求められているものではなかろうか、ってのは前回も言うたっけ。あくまで退学を主張するフィネラン先生に対して「彼女自身を評価せよ、世間体で判断するな」と詰め寄るアーシュラ先生は、多分自らの経験がその言葉の根っこにあるのだろう。アッコに「何になりたかったのか」と聞かれてもすぐには言葉が出てこない、あの様子は…過去いろいろとこじらせてきたんやろな、と見えますなあ。

試験教官のパイシーズ(魚、あるいはうお座っすね)先生に袖の下でも使って手心加えてもらおう、と企んでからのアッコの教師贈賄→教師殺害→死体遺棄→証拠隠滅工作、という流れるような犯罪行為が面白すぎた。また久々にエエ感じのテンポと作画で、作画枚数はそない多くもなさそうなのにものすごくトリガーしてて絵的にもよろしい。こりゃ脚本うえのきみこで作画はトリガー組だろうな…と思ったらそうでした(コンテ雨宮哲)。ハゼドンとオバQの合体悪魔みたいな状態のアッコが、こおろぎ声のお魚相手に身振り手振りで話してるシーン辺りはすっごく満艦飾劇場っぽかったっすね。すしおの名前があったけど、あの辺りかしら。